「テキサス親父」の愛称で日本のネットユーザーに根強いファンを持つ米国のトニー・マラーノさんが、米グレンデール市に建てられた慰安婦像に「侮辱」行為を行ったとして、日本の支持者からの喝采と、韓国メディアからの罵倒を同時に浴びている。
マラーノさんは「プロパガンダバスター」を名乗り、YouTubeで自らの政治的見解を語る動画製作者だ。捕鯨問題などで日本に好意的な立場を取っていることから、ニコニコ動画などで「テキサス親父」としてその動画が翻訳・紹介され、書籍も発売されるなど、特に保守層から人気が高い。
像の膝には小型の日章旗と旭日旗まで
問題の写真は、マラーノさんが自身のフェイスブックなどで公開したものだ。12月3日(現地時間)、日韓の間で設置をめぐり議論が起こったグレンデール市の慰安婦像を訪れたマラーノさんは、少女像の顔に紙袋をかぶせ写真を撮影した。
紙袋には、落書き風の人の顔が描かれている。以前に投稿した動画で、慰安婦問題について日本を支持することを表明するとともに、「慰安婦はブサイクだったから、紙袋でもかぶせていたに違いない」と語っており、それを像相手に実際にやってのけた、ということのようだ。さらに、像の膝には小型の日章旗と旭日旗まで乗せる。また同行した人物によって、マラーノさんが慰安婦像の横で笑顔を見せている写真も撮影された。
これらの写真は5日ごろから、ツイッターや2ちゃんねるなどで拡散された。さらに大手まとめブログなども相次いでこれを転載、「第三者」であるアメリカ人が日本に味方してくれたとして、「親父に感謝!」などとはしゃぐ人が続出した。
韓国側「監視カメラの設置、見回りの強化も」
韓国メディアも、間もなくこの騒ぎに気づいた。
聯合ニュースは記事の中で、マラーノさんのことを「米国の極右ブロガー」と紹介、さらに「日本の極右民族主義者たちからの支援を受けており、靖国神社を参拝したこともある」などと解説。テレビのニュース番組などでもこの騒動は取り上げられ、ネット上でも、「慰安婦がなんだかわかっているのか!」「いい年をしてなぜこんなバカなことを」などと憤りの声が相次いだという。
朝鮮日報によれば、現地の韓国系住民たちはこれを受け、像周辺への監視カメラの設置を検討しているそうだ。またボランティアで行っている監視作業を、いっそう頻繁に続けることも決まった。