虚構新聞が朝日インタビューに「残念無念」 小ネタとオチを全てカットされて…

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   うその記事ばかりを載せて人気を集めているニュースサイト「虚構新聞」が、朝日新聞の記事に「残念無念…」と不満をもらしている。

   「社主」UK氏は、インタビューでウィットをきかせた受け答えをしたつもりが、実際に掲載された記事では、参院での成立が目前に迫っている特定秘密保護法案に対して「反対に躍起になっているかのようなインタビュー」になってしまったというのだ。

虚構新聞の「黒塗り記事」には4000近い「いいね!」つく

虚構新聞は朝日社説を「ネタかぶりじゃないですかね」と指摘していた
虚構新聞は朝日社説を「ネタかぶりじゃないですかね」と指摘していた

   虚構新聞は2013年10月11日、「特定秘密の保護に関する法律案 主要論点集」というタイトルが読める以外は全部黒塗りになっている書類の写真とともに、括弧や句読点以外を残して全て「■」で黒塗りになった記事を掲載した。この記事が法案の内容や拙速な審議に対する風刺なのは明らかで、大きな反響を呼んだ。ツイートやフェイスブックの「いいね!」が4000近く寄せられるほどだった。

   12月4日夕方に「朝日新聞デジタル」に掲載された記事は、この黒塗り記事が書かれた経緯について迫ろうとする内容だ。記事によると、法案に関係して全国紙が情報公開請求したところ、ほとんどが黒塗りになった書類が開示された。このことをUK氏は「何が秘密かも分からない。誰が納得すると思うのか」と感じたという。また、UK氏は、

「国防に必要とする法案の目的自体は否定しない。でも、秘密の範囲が明確じゃなく、将来どう運用されるかも分からない。もっと時間をかけて議論してほしい」

と訴えたとされている。

「大局的に見てそういうことをして一体誰が信頼を無くすのか」

   だが、記事が掲載された数時間後に、虚構新聞のツイッターが違和感をつづった。

「本当はそこかしこに小ネタと最後にオチをつけていたのですが、編集過程で全てカットされたようで、まるで本気で個人情報(編注:「特定秘密」の打ち間違い)保護法案反対に躍起になっているかのようなインタビューになってしまいました。残念無念・・・」

   ツイートの説明によると、記者が出稿した記事にデスクが手を入れた結果、本来UK氏が伝えたかった内容と離れてしまったようだ。このようなメディアのあり方が信頼を失うとも指摘している。

「直接取材を担当された若い記者さんは、結構な本紙愛読者で、社主の意図を十分に理解したうえで、ちゃんとオチもボケも入れた記事書いてくれたそうなのです」
「大局的に見てそういうことをして一体誰が信頼を無くすのか、という話でもありますが」

朝日「黒塗り」社説に「本紙とネタかぶりじゃないですかね」

   ツイートからは、UK氏がどの程度朝日新聞の記事に不快感を持っているのかは読み取りにくい。だが、虚構新聞と朝日新聞には浅からぬ因縁があるとの見方もできる。

   朝日新聞は13年10月30日の社説で、「秘密保護法案 首相動静も■■■か?」と題して、首相動静欄を「知る権利を超えている」とやり玉に挙げた小池百合子元防衛相を批判している。その中で、小池氏の意に沿う記事の例として、

「【午前】■時■分、東京・■■■■町の■■省。■分、■■自衛隊ヘリコプターで同所発。■■、■■■■■■■■■同行。■分、東京・■■■■町の■■■■駐屯地着。
   【午後】■時■分、■■方面総監部庁舎で■■■■■相、■■■■副大臣らと食事。■時■分、■■ヘリで同駐屯地発。■分、■■空港着。
   情報統制のもとで、あえて首相の動きを伝えようとすると、こうなってしまう」

と書いた。虚構新聞のツイッターは、この社説の写真と前出の記事へのリンクつきで、

「本紙とネタかぶりじゃないですかね、朝日新聞さん」

とチクリ。

「黒塗り記事」は朝日新聞が先に書くべきだった

    UK氏は12月5日夕方になって、朝日新聞の記事の体裁をまねた「完全版」を掲載した。「完全版」なので、UK氏が本来伝えたかった「小ネタとオチ」が載っているはずだ。そのひとつが、

「官僚にせよ記者にせよ、いい大人が真っ黒な紙切れをまじめにやり取りするなんて実にアホらしい。受け取った記者も『意味のない紙切れが届いたので黒ヤギさんに食べさせました』とでも書いておけばよかったのではないか」

というもの。「黒塗り記事」については、朝日新聞が先に書くべきだったと主張した。

「そうすれば『ついに朝日発狂www』とか、2ちゃんねるのまとめサイトあたりが絶対に食いついてきたはず。紙の新聞を買ってくれているじいさんばあさんに気を遣って穏健な紙面を作っているのかもしれないが、今のままだと確実に泥船。先細る高齢読者と心中する気なら別にかまわないですが」

   また、ツイッターで社説が「ネタかぶり」と指摘した件については、朝日新聞が1989年に起こしたねつ造事件を引き合いに皮肉った。

「あの社説も中途半端だった。南海のサンゴ礁のような傷一つない無の更地から、謎の人物K・Yさんを作り出せるほどの想像力があるのに、どうしてその想像力が全面黒塗り記事掲載という方向に働かなかったのか。ある意味ではもったいないことをしたな、と思う」

   虚構新聞は、過去にも朝日新聞のねつ造を皮肉ったことがあり、今回のやりとりは、その延長戦上だともとれる。12年8月の記事「朝日新聞社、虚構新聞社のTOBに前向き」では、

「朝日新聞社では、虚構新聞社を買収することによって、若い読者が多いネット報道分野での足がかりを築くとともに、捏造報道制作のノウハウを得るなど両社の相乗効果を期待しているもようだ」

と報じている。読み方によっては、朝日新聞が捏造報道のノウハウを求めているともとれる。

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