TBS系「半沢直樹」やテレビ朝日系「相棒」が社会現象になるほどの人気を博し、長らく低迷していたテレビドラマが「復権か」とささやかれている。
「視聴者がドラマに戻ってきた!」と喜ぶ声も上がったが、今期は一転して絶不調のドラマが目立つ。19~23時のプライムタイムに多くの作品が平均視聴率1桁、「3%台」という寂しい数字の作品もあるのだ。「半沢」「相棒」はまぐれなのだろうか。
平均視聴率1桁が15作品中7作品
2013年10月期(10月スタート)の民放ドラマで、特に低調なのが「夫のカノジョ」(TBS系木曜21時)だ。裏番組が人気シリーズ「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)という不利な条件なのもあってか、初回から4.7%と低調で、11月21日放送の5話では3.0%と、「今世紀のプライム帯放送ドラマで最も低い視聴率」という屈辱的な数字を叩き出してしまった。11月27日のTBS定例会見では、佐々木卓編成局長が「大変厳しい視聴率で終了することになった」と、8話で打ち切りになることを明かした。
「家族の裏事情」(フジテレビ系金曜20時)も負けていない。今期から新設されたドラマ枠の第1弾の作品だが、初回6.5%と華々しい門出とはならず。その後もどんどん下がり、11月22日放送の5話では3.8%を記録した。
不調が目立つのは2作品だが、他のドラマも良い数字とは言えない。11月27日時点で平均視聴率が1桁なのは15作品中7作品で、プライム帯の民放ドラマの平均視聴率は11.2%となっている。
平均2桁を保っている「海の上の診療所」(フジテレビ系月曜21時)も11月18日放送の6話は8.9%、25日放送の7話は9.9%と1桁に転落し、「安堂ロイド」(TBS系日曜21時)、「独身貴族」(フジテレビ系木曜22時)もギリギリ2桁を死守、という具合だ。
7月スタートのプライム帯民放ドラマでは、全話平均視聴率が1桁なのは14作品中4作品、全ドラマ平均視聴率は13.03%で、全体的に好調だったという印象だ。
芸能評論家の肥留間正明さんは10月期の惨状について、視聴者でなくジャニーズをはじめとしたタレントのためのドラマ作りになってしまっているのが原因と見ている。
「脚本、演出、キャスティング、俳優の演技がしっかりしている、『当たり前のこと』ができているドラマがドクターX、相棒、リーガルハイの3本だけ。当たり前のことをやって成功した『半沢~』の教訓が全く生かされていない」
と指摘した。
不調2作品については、「夫のカノジョは中途半端でマイナーなテーマ設定が良くない。このタイトルじゃ主婦層の共感を得られない。家族の裏事情は完全にキャスティングミス。主役はもっと引き付ける人じゃないと」と一刀両断にした。