遺伝子検査でわかる自分のルーツ 見ず知らずの米国人が「親戚」だった!

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   インターネットで簡単に手に入り、在宅で利用できる「遺伝子検査キット」が注目されている。「肥満」や「アルコール代謝」などを、遺伝子から調べることが多いようだ。

   それだけでなくなんと、自分のルーツもわかるというのだ。遺伝子検査を受けたら、見ず知らずの米国人が「親戚」だったというケースもあった。

「父から縄文系を、母から弥生系の遺伝子を受け継いでいます」

遺伝子検査で、自分のルーツもわかる?(写真はイメージ)
遺伝子検査で、自分のルーツもわかる?(写真はイメージ)

   遺伝子検査というと、TVドラマなどで犯人を特定したり、親子鑑定に使われたりするシーンを思い起こすが、最近は食生活による病気やアルコール代謝、肌の老化やダイエット対策、子どもの性格検査や潜在能力を引き出すためにも利用されている。

   病院で1万円前後から受けられ、安い遺伝子検査キットは6000円弱からある。かなり身近になっており、誰でも簡単に受けられる。

   博報堂生活総合研究所の主任研究員、酒井崇匡さんは、研究員としての興味から遺伝子検査を受けた。

「自分自身の遺伝子に興味はありましたが、診断結果がわかることで生活者の心理や行動にどのような変化が起こりうるか、それによってどのようなマーケットチャンスが生まれうるかなどを自分で実験してみようと思いました」

   検査方法は簡単。届いた遺伝子検査キットの容器に唾液のサンプルを採って、返送するだけ。唾液に含まれる染色体から遺伝的な情報を分析。分析結果は後日、ウェブで確認できる。

   分析できる項目は、ガンなど病気の遺伝的リスクから、髪質や耳垢のタイプなど身体的な特徴まで多岐にわたる。酒井さんは、「いくつか人よりもリスクが高い病気は見つかったものの、それほど重大なものではありませんでした」と、ひとまず安心している。

   遺伝子検査の結果で、自分のルーツを知ることもできる。酒井さんによると、たとえば現代人はネアンデルタール人由来の遺伝子をほんの少しだけ受け継いでいるらしいが、「私はその比率が東アジアの平均値よりも高いようです」という。

   人類はDNA配列の特徴によって、いくつかのグループに分けることができ、遺伝子検査で自分がどのグループに属しているかもわかるが、「私は父方から縄文系グループの遺伝子を、母方からは弥生系グループの遺伝子を受け継いでいる」との結果が出てきた。

   驚いたことはまだある。

数人の見知らぬ日本人とも「親戚」だった

   酒井崇匡さんが利用した遺伝子検査サービスには、遺伝情報の開示を許諾すると、利用者内で血縁関係が近い人を教えてくれる仕組みがあった。「DNAによる親戚」を検索できるシステムで、許諾すると5代くらい前で分かれたと思われる日本人が数人、見つかった。

   いずれも見知らぬ日本人だったが、さらには米国人からも「親戚」申請があった。

「まさか米国人から親戚申請が届くとは思ってもいませんでした。最初は半信半疑でしたが、他に見つかった日本人の『親戚』よりも、彼(米国人)との遺伝的な共通率の方が高かったですし、彼に日本人の祖母がいることもわかった」

   酒井さん自身、米国人から教えてもらった情報と祖母の名前を頼りに家系を探ってみたが、かなり遠縁なので、その時は見つけることができなかったという。

「遺伝情報を元に他者との関係性を探る、という利用の仕方は自ら主体的に血縁を探れるようになるので、よいことだと思います。自分が受け継いでいる大きな物語を知ることは、世界観を豊かにしてくれるはず。自分のルーツに興味があるのでしたら、ぜひ受けてみてはいかがでしょうか」

   もちろん、一方で知りたくなかった血縁関係まで発覚してしまうなどのリスクがある。

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