DVDレンタル、米大手チェーン全店閉鎖 ネット配信拡大で日本はどうなる

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   映画を家庭で楽しむスタイルが転換点を迎えている。インターネットによる配信サービスの台頭により、DVDレンタルの利用が減ってきているのだ。

   米国では、大手レンタルチェーン「ブロックバスター」の全店舗閉鎖が決まった。日本でも市場は年々縮小している。

国内のレンタル市場規模は5年間で3分の2に縮む

DVDをレンタルしてもスマホでは見られない
DVDをレンタルしてもスマホでは見られない

   ブロックバスターは、ピーク時の2004年には9000店以上を構え、一時は日本にも進出していた。だがDVDの宅配サービスやネット配信に押されて、2011年には米連邦破産法11条を申請、衛星放送を手掛ける米ディッシュネットワークが事業を買い取った。ディッシュ社は、ソフトバンクが2012年10月に米携帯電話大手のスプリントネクステルの買収を発表した後、対抗馬として名乗りを上げた企業だ。

   そのディッシュ社が2013年11月6日、現存しているブロックバスターの300店舗を2014年1月初旬までにすべて閉鎖すると発表した。11月9日には、貸し出し業務を終了するという。ブランド自体は存続させ、DVDの宅配や映像のストリーミング配信事業に活用する。

   時代の流れとはいえ、わずか10年ほど前には最盛期を迎えたビデオレンタルの雄が「退場」となるのは衝撃だ。では、日本の現状はどうだろうか。

   日本映像ソフト協会が2013年4月に公表した「ビデオソフト市場規模及びユーザー動向調査2012」によると、DVDとブルーレイ(BD)の2012年のレンタル市場規模は2389億円だが、前年比で6%減だ。2007年の3604億円以降は一貫して下がり続けており、5年間で3分の2の規模に縮まった。

   レンタル利用状況も芳しくない。DVDやBDについて「1年間は購入もレンタルもしていない」「購入したがレンタルなし」と、レンタル行動をしていない割合は、2012年は61%。また購入の有無を問わず「レンタルあり」は39.0%で、2009年の44.2%と比べると「レンタル離れ」が進んでいることが分かる。

   対照的に、好きな時に映像コンテンツを視聴できる「ビデオオンデマンド(VOD)」は国内でも近年、充実してきた。サービス自体が増えたこともあるが、使い勝手や料金面でも向上してきている。

新作映画を劇場公開に先駆けてネット配信

   視聴できる機器がテレビだけでは不便だが、最近はパソコンに加えて、普及が進むスマートフォンやタブレット型端末にも配信する業者が増えている。料金では、映画1本ごとに支払う方式から、定額制で「月額いくらで見放題」といったプランが定着してきた。

   ケーブルテレビ会社からネットプロバイダー、ポータルサイト運営会社に加えて2011年には米国で実績を上げた「フールー(Hulu)」が参入、またレンタルチェーン「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)も、VODサービスを提供している。

   Hulu日本代表マネージングディレクターのバディ・マリーニ氏は11月6日付のCNETのインタビューで、「以前はテレビで放送していなかったり、レンタル店に置いていないコンテンツは見ることができませんでしたが、そうした作品が見つかるチャンスがあるのがVOD」と語り、Huluについても「サービス開始から約半年は10%程度だった認知度が、現在は50%程度に上がってきている」と自信をのぞかせた。。

   封切られる新作映画をネットにも配信する試みも始まった。動画配信サービスの「ユーネクスト」は、11月9日公開の邦画4作品をネットで11月6日から「先行上映」している。動画配信業者21社が協力し、劇場料金と同じ金額に設定した。旧作だけでなく新作までネットで見られるようになれば、サービスの幅は広がる。

   見逃した映画がDVD化され、それがレンタル店に届くのを待つよりも、視聴の手間がかからなければVODの方がずっと早いし楽に楽しめる。米ブロックバスターの事例は、日本の近未来の姿かもしれない。

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