テレビ朝日系の連続ドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」(木曜21時)が大人気だ。2013年10月24日放送の第2話の平均視聴率は23.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と、同クールの民放連続ドラマでトップの数字を記録した。初回の22.8%から0.3ポイント伸ばし、大ヒットしたTBS系「半沢直樹」をも上回るペースという。
人気の秘けつは一体何なのか。視聴者の声を聞いてみると、「胸のすく展開」「キャラの濃いキャスト」「キャッチーながら独特な台詞回し」などにひきつけられる人が多いようだ。
「ドクターX」がGoogle急上昇ワードとツイッタートレンド入り
「ドクターX」は、米倉涼子さん扮する「異色・孤高・反骨のフリーランス天才外科医」、要は派遣医師の大門未知子が、成功率や生存率が低く、術式が確立されていない危険な手術に挑戦しながら、大学病院の歪んだ権力構図に立ち向かっていくというストーリーだ。
メーンビジュアルでは、胸元の大きく開いた服に白衣をまとった大門が、こちらを見下ろすような表情で、赤く大きな「X」の文字を抱きかかえるような形で足を組んで座っている。横に書かれた「私、失敗しないので。」というキャッチコピーが目を引く。
12年10月期にも放送され、初回視聴率18.6%、最終回は24.4%を記録。同クール最高となる全話平均視聴率19.1%を叩き出した。視聴者からの評価も高く、読売新聞が実施した読者投票では木村拓哉さんが主演した月9ドラマ「PRICELESS」を抑え堂々の1位を獲得していた。
続編となる今回も、視聴率に現れているように話題性は抜群だ。初回放送日の10月17日には「ドクターX」がGoogle急上昇ワードとツイッタートレンド入り、24日にもツイッタートレンド入りした。
放送中のツイッターを見てみると、大門の口癖「致しません」、決め台詞「私、失敗しないので」や、外科統括部長に媚を売る医師3人「御意三兄弟」が揃って言う台詞「御意」が出た瞬間、「いたしません攻撃!」「『私失敗しないので』いただきましたー!」「御意!!!」などと盛り上がり、「半沢」で起こった「倍返し」ブームも連想させる。
テレ朝のレベル高いドラマ作りがウケている
厳しい意見が少なくないYahoo!テレビの「みんなの感想」でも、感想183件中「5つ星」が60%、平均は4.07星と高い評価を得ている。「今までの日本ドラマのジメジメ、陰湿、子供じみた演技、演出から離れスカットしており、見終わった後が気持ちよく眠れます。役者も演技達者の大人を選んでおり、安心して観られます」「自分に出来なかった態度表明を、すっきりやってくれる大門、米倉の演技力等。堺の『半沢』にも通ずる。毎回期待できる」「先の展開が読めるとかいうレベルじゃないぐらい分かり切っているのに面白い」など、多くは好意的な感想だ。
芸能評論家の肥留間正明さんも、「面白いよ!米倉涼子最高!」とテンション高めに話す。フリーランスの女性医師が、大学病院のお偉方を相手にしながら、腕一つで物事を切り開いていくという痛快さがいいという。西田敏行さんと三田佳子さんという2人のベテランが、外科統括部長、内科統括部長として対立する構図も重みがあり、「ワクワクする。次週が楽しみになりますよ」とかなりはまっているようだ。
そして何と言っても米倉さんの演技力が素晴らしいと肥留間さんは力説する。格好良さを持ちつつ、競馬や麻雀に興じたり、たい焼きの味で迷ったりという破天荒さ、無邪気さを演出するのも上手く、「他の女優と比べても演技が幅広い。今や日本一の大女優と言えるのではないか」と大絶賛していた。
最近は「半沢」の爆発的ヒットもあり、老若男女が完成度の高いテレビドラマに目を向け、ドラマ全体がまた盛り上がりつつあると感じているという。テレビ朝日のドラマは局があまり口出しせず、制作会社のプロが中心となって作っているということもあってレベルが高く、そうした背景が重なって「ドクターX」の人気につながっているのでは、と見ている。