日本郵政グループ、他社の保険販売を拡充 15年春予定の上場前に収益拡大策急ぐ

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   日本郵政グループが、全国の郵便局を活用した他社の保険販売の拡充を急いでいる。2013年7月、2万の郵便局網をフル活用して外資系のアメリカンファミリー保険(アフラック)のがん保険を販売すると発表したばかりだが、住友生命保険などの保険商品についても、取り扱い拡大に動き出した。

   日本郵政は2015年春を目指す株式上場を控え、収益拡大策の確保が急務だ。生保各社にとっても販売チャネル確保は歓迎で、「郵便局ルート」の保険販売の行方が注目されている。

中小企業などの経営者向けの生命保険も拡大

   「(将来的に2万の郵便局で商品を扱う)アフラック並みの(取り扱い局)拡大をお願いしている」。9月20日、生命保険協会長としての記者会見で、住友生命の佐藤義雄社長はこう述べた。日本郵政は現状でも全国の1000局の郵便局で、住友生命の医療保険を扱っているが、さらに取り扱う郵便局数を拡大するよう、日本郵政グループに打診していることを明らかにしたのだ。日本郵政の幹部は調整中であることを認めており、具体化の可能性は高い。情報発信されることを意識した会見での発言であり、話は進んでいそうだ。

   住友生命以外の保険会社でも、10月から保険商品を取り扱う郵便局を拡大する具体的な話が目白押し。例えば、保険料を最初に一度に払ってしまう「貯蓄型商品」の変額年金保険について、メットライフアリコ生命保険と三井住友海上プライマリー生命保険の商品を扱う局を、それまでの計約500局から計1000局余りに倍増させる。

   死亡することが周囲に与える影響の大きい中小企業などの経営者向けの生命保険(日本生命保険、東京海上日動あんしん生命保険など7社)については、2割以上増やして165局前後とする。自動車保険についても、東京海上日動火災など6社が共同募集する商品の取り扱い局を2割ほど増やして1500局程度にした。

   日本郵政はアフラックとの提携拡大も10月に具体化した。アフラックのがん保険取り扱いを従来の1000局から、「簡易局」(業務を自治体や個人に委託する郵便局)を除く全国2万の郵便局に拡大する方針だが、手始めに10月から1500局に増やした。2万局への拡大は「今後2年以内」(西室泰三・日本郵政社長)を目指す。

「かんぽ生命」の契約数は減少の一途

   上場を控えた日本郵政にとって各事業のテコ入れは重要課題だが、国内外から「民業圧迫」の批判もある。保険についても傘下の「かんぽ生命」の契約数は減少の一途をたどり、2007年の民営化前の5000万件超から約3700万件になっている。しかし、かんぽ生命で独自に新規事業を展開するには、TPP(環太平洋経済連携協定)が本格交渉入りするなか、かんぽ生命を目の敵にする米政府の視線が厳しすぎるのが実情だ。

   そうした日本郵政の悩みへの回答が、他社保険商品の取り扱い拡大だった。開発コストもいらないし、手っ取り早く手数料を稼げる。アフラックも自分たちが郵便局網に乗っかった以上、郵便局で他社商品が増えることにまで文句を言える筋合いはない。こうして競われることになった郵便局網での各社の保険商品販売に消費者がどう反応するか、業界の話題となっている。

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