「マー君は、神である。逆らうものは、地獄に落ちろ!」
「神に逆らう不届きものめ! 千葉、滅びろ!」
「千葉がなんじや、アイデンティティも無いくせして!」
これは球場でのヤジではない。社会的地位も高い大学の――それも東北大学(仙台市)の現職教授(55)によるツイートだったのが問題だった。すぐさま「炎上」してしまい、2013年10月18日には、大学が謝罪文を出すまでに発展した。
「ツイッターは有効な社会測定器」
13年10月17日、プロ野球・パリーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦、東北楽天ゴールデンイーグルス対千葉ロッテマリーンズが行われた。試合は「マー君」こと楽天・田中将大投手(24)が完封し、ロッテを2―0で下した。
東北6県ではNHK総合で生中継され、楽天のホームタウン・仙台地区では27.3%(ビデオリサーチ調べ)の高視聴率を記録した。東北全体が感動に包まれた17日午後9時すぎ、とある「楽天イーグルス&ベガルタ仙台ファン」の男性が、
「マー君は、神!」
とつぶやいた。その後も男性の興奮はおさまらず、
「あと2勝! 続け、則本!」
「ロッテごときが、神にかなうわけがないw」
「しかし、隠れヒーローは銀次である。いよ、北三陸の誇り!」
と続けるうちに、冒頭の「地獄に落ちろ」発言に至ってしまう。
ツイッタープロフィール欄のリンクから、あっというまに男性が東北大学大学院で文化人類学を担当する教授とわかった。教員紹介ページ「教員のよこがお」には「ツイッターやってます」の文字とともに、ツイッターアカウントへのリンクが張られていたからだ。由緒ある「旧帝国大学」教授の発言とあって、ツイッターには非難と心配の声がこだました。しかし教授は、まったく意に介さない。
「冗談もわからんやつは、最初から相手にしとらんわい!」
「嫌われることを恐れて、ツイッターができるかい!」
「本当に、おバカの多さに驚いておる。ツイッターは、実に有効な社会測定器であるw」
「あのねえ、教授って、ただの肩書ですからwww」
などと煽りたてながら、日付がかわった18日0時すぎに「もう12時過ぎかよ、帰る!」とつぶやきを終えた。
謝罪するもツイートは消さず
教授はツイッターのプロフィール欄で「呟きは個人としての発言」としているが、大学側は「個人」の域を超える問題とみた。東北大の法務・コンプライアンス部は18日夜6時すぎ、「東北大学教員によるツイッターにおける不適切発言について」と題する謝罪文を発表する。
大学はつぶやきを「不適切発言」と位置付け、「多くの皆様に不快な思いをさせてしまい、深くお詫び申し上げます」と話す。18日に「所属組織の責任者」が教授と面談し、発言の経緯や事実を確認した上で、教授に対し「厳重な注意」と「関係者に謝罪するよう指導」したという。
大学の発表に先立ち、18日午前11時半すぎ、教授は、
「昨夜は、千葉の方々、ロッテファンの方々、広島の方々、カープファンの方々を傷つけるツイートを発しましたことを、深く反省し、ここに謝罪いたします。また、仙台の方々、イーグルスファンの方々にも多大の御迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます」
「昨夜は、深酔いしていましたが、一夜明けて改めて自身のツイートを見直し、自身の行為を恥ずかしく思っております。誠に申し訳ありませんでした」
とツイッターで謝罪した。しかし19日午後3時現在、「千葉、滅びろ」など一連のツイートは削除されておらず、いまなお「延焼」し続けている。