「iPhone登場以来、最大の変更」と米アップルが言うほど、iOSの最新版「iOS7」ではユーザーインターフェースがガラリと変わった。装飾を極力排した「フラットデザイン」を採用し、立体的でリッチなデザインから、シンプルで平面的なものになった。IT業界で盛り上がるフラットデザインの流れを受けて、iOSに続いてAndroidも最新機に採用するのではとささやかれている。
シンプルで平面的なデザイン
フラットデザインは、立体感な表現をできるだけ使わず、シンプルな線や色だけでウェブサイトやアイコンを構成するというものだ。「iOS7」の場合、従来は日めくりカレンダーを模していた「カレンダー」のアイコンが、単色の背景に数字と曜日だけのシンプルなものに変わった。革や木材の質感を再現した重厚なデザインのアイコンのアプリなども、アップルの新たなデザイン基準では審査に通らない。
アップルのiOSだけでなくここ数年、多数のIT企業がフラットデザインをウェブサイトや企業ロゴなどに採用し始めた。例えば、Googleも2013年9月20日、ロゴのデザインを陰影のある立体的ものから、平面的なデザインに変更した。米Microsoftなども同様にフラットデザインを導入している。
こうした流行の背景には、現実世界の物体に似せたデザインを用いる「スキューモーフィズム」という考え方に対するアンチテーゼがあるという。従来はコンピュータに不慣れな人でも操作しやすいデザインがよしとされてきたが、ここ数年でスマートフォンやタブレットが急速に普及し、多くの人がコンピュータでインターネットを利用するようになり状況が変化した。
アップルのインダストリアルデザイングループ担当上級副社長・ジョナサン・アイブ氏は、USA TODAY(9月19日)のインタビュー記事で、iOS7について言及しながら、「ユーザーはすでにガラスのディスプレイを触ることに慣れて、物理的なボタンが不要になった」「現実世界をそのまま参照する必要がなくなった」などと答えている。
「俺にはどうしてもかっこいいと思えないんだ」
流行しているフラットデザインだが、ユーザーから完全に受け入れられているわけではないようだ。「iOS7」にアップデートした人からは、「iOS 7使いにくいすぎ… しかもフラットデザインてダサい…」「iOS7になって、ボタンかどうか分からないデザインのボタンがいくつかあったなー」などという声もツイッターであがっている。フラットデザインのシンプルで平面的という特徴が、画面のどこをクリックできるか区別しづらくさせている。
そして9月中旬に、Android OSの次期バージョン「Android 4.4(KitKat)」と見られる画像が発表前に流出し、「iOS7」に続いてAndroidもフラットデザインの可能性があると判明した。iOSとAndroidもどちらもフラットデザインになると、それ以外のインターフェースを用いたスマートフォンを手に入れるのが難しくなるため、フラットデザインを好まないユーザーは、
「なんだよ、iOS7があまりにもダサいから泥にしようかと思ってたのにお前もかよ」「どういうことだ。このフラットの流行は・・・。本当にこれがナウいのか?せめて選ばせてくれ。俺にはどうしてもかっこいいと思えないんだ」
などと、残念がっている。