川崎病、最高の発生率を更新中 12年は年間1万3917人、「静かな大流行」続く

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   日本に多発する、原因不明の乳幼児の病気「川崎病」の患者数が2011年は1万2774人、2012年は1万3917人で、り患率は2010年から3年連続で毎年、史上最高を記録し続けていることがわかった。特定非営利活動法人日本川崎病研究センター(川崎富作理事長)の協力で調査した自治医大公衆衛生学教室(中村好一教授)は、2013年9月27日、富山市で開かれる日本川崎病学会でくわしい報告をする。

患者総数30万人に迫る

   同大は1970年から2年に1度、患者の全国調査をしている。今回の第22回調査は小児科のある100床以上の病院と小児科専門病院が対象で、7割の1420病院が回答した。

   川崎病は1982年に1万5519人、1986年に1万2847人の突出した大流行をはさんで年々増えつづける「静かな大流行」傾向にある。

   5歳児未満人口に対するり患率をみると、出生率が低下していることから、2007年以降は1982年を上回っている。2012年は同人口10万人に対し264.8人と最高記録を更新、患者の数でも1986年を上回り、史上2番目を記録した。これまでの患者総数は29万9440人になった。

   従来通り、男児が女児の1.37倍と多かった。両年とも1月の患者数が多く、春から夏の発病が増えている。生まれたばかりの乳児は少ないが、その後増え、9か月から11か月をピークのカーブで減少する。

   2009年に徳島、長野、京都、熊本などのり患率が高かったが、翌年は隣接県、翌々年はさらに回りへと広がる傾向があった。今回のデータからも、何らかの感染症が関係している可能性が示唆された。

   川崎病は心筋梗塞が一番怖いが、急性期に心臓異常があった子どもは 9.3%、治療後に後遺症が残ったのは 2.8%だった。1997年98年の20.1%、7.0%以降、年々、異常の率が下がってきている。

   軽症化の一方、年々の患者数急増は放置できない。グループは学会で「原点に戻り、原因究明に全力を」と訴える。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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