東京五輪までに首都高「つくり直し」 巨額の建設費用どう生み出す

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半地下の高速道路に「ふた」をして土地をつくりだす

   首都高を補修、新設するには当然、財源が必要となる。首都高速道路会社の調査研究委員会が2013年1月15日にまとめた提言によると、老朽化が進む路線での大規模な修理やつくり直しをした場合、その費用は7900億~9100億円との試算だ。使用年数が増えて古くなっていく湾岸線や5号池袋線などを含めると、さらに3200億円が必要になってくるという。

   莫大な費用をねん出するためにユニークな案も浮上した。都心環状線の銀座付近は半地下になっており、この道路に「ふた」をかぶせることで高速道路の上に「土地」をつくりだすのだ。そこを使う権利を売却して、修繕費を確保しようというアイデアだ。

   ただこうした区間は全体のわずか6%に過ぎず、首都高の約8割は高架だ。トンネルや橋梁といった構造物が多く、維持費がかさむのも悩みの種。しかも構造物の経過年数40年以上が3割、30年以上も5割と、修理を繰り返しているとはいえ使用状況は綱渡りと言えよう。

   耐性面はもちろん景観の点からも、日本橋を隠して六本木中心部をさえぎるように貫く高架橋を撤去して、新たな街づくりを進めるという提案も国交省の有識者会議から出された。だましだまし補修を続けていくよりも思い切ってつくりなおし、東京五輪までに間に合わせるという考えもあるだろう。だが巨額の費用をすべてカバーするのは現時点では難しい。高速料金の値上げで利用者にツケが回るのか、それとも「ウルトラC」の妙案が生まれるか、五輪開催まで7年、残された時間はそれほど多くない。

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