大学見本市、実用化のアイデア満載 10分野に400以上の研究展示

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   大学発の技術と企業を結びつけ、実用化をめざす大学見本市「イノベーション・ジャパン2013」(主催は科学技術振興機構と新エネルギー・産業技術総合開発機構)が2013年8月29、30日、東京ビッグサイトで開かれた。情報通信や医療、環境保全など10分野にわたり、大学だけで400以上の研究が展示された。

末期がん治療を目標にする新技術

   「超音波化学療法によるがん治療」を発表したのは、福岡大学医学部の内田俊毅講師らのチーム。がんに集まる光感受性物質を注射後、従来のレーザーに代わる超音波を照射してがんを殺す治療法で、末期大腸がんのがん性腹膜炎マウスのがんを殺すのに成功した。末期がん治療を目標とする技術は珍しい。

   千葉大学大学院工学研究科の五十嵐辰男教授らは、人工腹水を用いた手術システムを開発した。腹部に生理的食塩水を流し、羊水中の胎児のように、浮かんだ臓器を手術する。腹腔鏡の視野を二酸化炭素でふくらませて確保する代わりに生理的食塩水を用いるもので、出血に対応しやすい、などの特色がある。

   足首関節の拘縮防止リハビリロボットも登場した。富山大学工学部の戸田英樹講師らは、手術入院後、歩けなくなる高齢者を減らすため、理学療法士などのリハビリ動作を模倣した。

   金城大学、金沢大学、北陸先端科学技術大学院大学などの石川県チームは視野障害者支援の電子めがねを開発した。めがね状のカメラで目の前の光景を写し、周囲が見えない、片側が見えない、中心部が見えないなど本人の視野の状態に合わせて映像にする。持ち歩きは可能だが、めがねや本体のより小型化をめざしている。

   静岡大学大学院工学科の犬塚博教授らは圧縮空気を用いた非接触型、持ち運びタイプの硬さ測定器を開発した。本来は果実や工業製品の硬さを想定していたが、人間の体の硬さの測定に応用可能とわかった。筋肉や組織の硬さから薬や化粧品、運動やマーサージの効果、筋肉疲労度測定などにも使えるという。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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