山形県がMicrosoft Officeを再導入 無料ソフトから切り替えた理由とは

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   オープンソースの無料オフィスソフト「OpenOffice.org」を利用してきた山形県が、2014年度中にMicrosoft Officeに切り替えることがわかった。マイクロソフトが2013年9月4日に明らかにした。

   2011年に都道府県では初めてOpenOffice.orgを正式に導入して、先進的な取り組みとして注目されてきた同県だが、どうしてマイクロソフトオフィスを再導入することになったのか。

共用PCを使うために順番待ちに

   マイクロソフトによると、山形県は2002年に職員1人1台のPCを導入した際に、Windows XPとOffice XPを採用。2011年にOffice XPのサポートが終わり、セキュリティ更新プログラムが更新されなくなるのを機に、オフィスソフトをOpenOffice.orgに切り替えていた。

   OpenOffice.orgを導入した当初の目的は、Microsoft Officeのライセンス料金が不要になることによるコスト削減に加え、メーカー主導でのファイル形式に頼らず、公共機関としてドキュメントの永続的を担保するためだった。OpenOffice.orgは、Open Document FormatやPDFなどの汎用的なファイル形式での保存に対応している。ほとんどの職員はこのソフトを使用し、Microsoft Officeのライセンスは一部を残すのみで、MSソフト用のビューアーの配布も行っていた。

   ところが、2年近く運用を続ける中で互換性の問題が浮上した。民間や国、ほかの自治体などから送付される Microsoft Officeのファイルをビューアーやオフィスソフトで閲覧すると、書式やレイアウトなどが崩れてしまう事例が多発。手作業による細かな修正を行う頻度が予想よりも高く、Microsoft Officeを残していた共用PCを使うために順番待ちになることもあったという。

   そこで解決策として検討したのが、Microsoft Officeの再導入だった。Microsoft Office 2007 以降では、PDFやxml、Open Document Formatなどの形式でファイルを保存することが可能になり、永続的な活用に向けて進化していることから、庁内のPCにMicrosoft Officeを順次導入することを決定した。最終的には全庁的に利用可能な環境を整えていく。

   自治体でのOpenOffice.orgの導入は、2000年代後半から広がり、福島県会津若松市や北海道深川市、愛媛県四国中央市など、複数の団体で利用されている。これまで高知県のようにOpenOffice.orgの使用を検討して見送るケースはあったが、山形県のように正式導入してから、再度Microsoft Officeへ切り替える自治体は珍しい。

「Open系は痒いところに手が伸びない」

   山形県ではこの決定をするにあたり、オープンソースは、製作者側がコミュニティを母体とした開発で先々の計画がはっきりしないのに対して、マイクロソフトの製品・サービスは、数年単位で開発のロードマップが提示されている点や、メジャーバージョンアップだけでなく、サービスパックの配布を通じてサポートが受けられる点なども評価したという。

   山形県の決定に対してネットでは共感する意見も出ており、

「自分の所属組織でもオープンオフィス系検討したけど、トータルなコスト考えたらMicrosoft様に頼るのが一番ラクだよね、という結論に達した」「導入コストは削減できても企業内ユーザの教育コストもろもろ運用がめんどいからねえ」「俺も独立当初はケチってOpenOfficeだったが、皆様問答無用でofficeのファイルを送り付けてくるので、1年でやむなくMSOfficeを導入した。それを抜きにしても、なんだかんだMSは使い勝手いい。Open系は痒いところに手が伸びない」

などといった声が挙がっている。

   一方、無料オフィスソフトを採用している他の自治体の中には、互換性の問題についてOpenOffice.orgから別ソフトに移行することで解決を図っているところもある。OpenOffice.org導入の先駆けとなった福島県会津若松市は、OpenOffice.orgの派生版ソフト「LibreOffice(リブレオフィス)」を使用。OpenOffice.orgよりMicrosoft Officeとの互換性が高いうえ、機能やセキュリティに関するバージョンアップが活発だという。

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