2013年7月の参院選で各党が飛びついたソーシャルメディアのひとつが、メッセージアプリの「LINE」(ライン)だ。爆発的な利用者の伸びを背景に、企業がPR媒体として次々に公式アカウントを設けた。政党も後を追った形だが、選挙が終わると、コストを理由に大半の政党が撤退するという結果になった。どんな仕組みになっているのだろうか。
現時点でアカウントが残っているのは公明、民主、みんなの3党のみ
参院選では10党がLINEを活用し、選挙期間中も街頭演説の告知などに活用した。ただ、選挙から1か月が経った2013年8月22日時点でアカウントを残している政党は公明党、民主党、みんなの党の3党のみ。大半が撤退した形だが、何が起こったのか。
LINEでは、初のネット選挙でどのようにLINEが活用されるかを調査する目的で、各政党にアカウントを無料で提供。無料での提供期限は7月末だったが、政党側からのリクエストに応じる形で、有料プランへの移行のための検討期間として8月中旬まで無料期間を延長した。
政党が利用するのは中小企業向けのプラン
LINEが公表している媒体資料によると、初期プランの場合、契約期間や配信できるメッセージの数によって料金が違う。4週間に5回までメッセージを発信できる契約だと800万円、12週間で7回までメッセージを発信できる契約だと1000万円という具合だ。
それ以降は「継続プラン」があり、「友だち」が10万人いるアカウントの場合、月に4回までメッセージを配信できるプランで月額250万円。メッセージ1通あたり6.25円かかっていることになるが、「友だち」の数と配信回数が増えるほどメッセージあたりの単価は下がる仕組みだ。
こう見ると、導入には非常にハードルが高いように見えるが、これは大企業向けのプラン。政党が打診されたのは、中小企業向けの「LINE@」(ラインアット)と呼ばれる廉価版プランだ。このプランだと、「友だち」と呼ばれる登録読者数が1万人以内の場合で、初期費用5250円(現在はキャンペーン期間で無料)、月額費用5250円(最初の3か月は無料)で利用できる。「友だち」の数が増えるほどコスト増になるが、10万人を越えない場合であれば、月1回メッセージが発信できるプランで月額26万2500円だ。
現時点での政党アカウントの「友だち」の数を見ると、公明党が最も多く13万3000人、民主党が6万4000人、みんなの党が5万2000人。最も多い公明党の場合でも、月額30万円程度で運用が続けられる計算だが、大半の政党では、それすら負担が大きいと判断したようだ。