三菱東京UFJ銀行は、全国に約8400台ある自行のATMを、土日祝日も含めて午前8時45分から午後9時であれば、いつでも無料で現金を引き出せるようにする方向で検討していることがわかった。振り込みを含め、ATMの利用手数料を抜本的に見直している。
一方で、現在平日午前8時45分から午後6時に無料にしているコンビニエンスストアにあるATMの利用手数料を有料に切り替える。
利用できるコンビニATMは全国に約4万1000台
三菱東京UFJ銀行はATM手数料の見直しについて、検討中としたうえで「決定した事実はありません」と話している。
実現すれば、平日夜間や土日祝日のATM利用手数料の無料化は、メガバンクでは初めてとなることから、他行にも影響を与えそうだ。
現在、同行のお客がATMを利用した場合、平日の日中は無料、平日夜間や土日祝日は105円の手数料がかかる。これを全日午前8時45分から午後9時まで無料にする方向で検討している。
あわせてATMの稼働時間も見直し、原則として午前7時から深夜0時まで延長し、ATMコーナーも約30か所新設する、という。
たとえば、週末のレジャーに出かけるのに、「現金を出し忘れた」という失敗をしないで済むようになる。
一方、三菱東京UFJ銀行のお客が、セブンイレブンやローソンなどで使える「コンビニATM」は全国に約4万1000台。現在は自行ATMと同じ条件で使えるが、これを平日日中は無料から105円に有料化し、平日夜間や土日祝日は105円から210円に引き上げる。
見直し後の手数料水準は、みずほ銀行や三井住友銀行などと同じになる。
コンビニATMの手数料見直しには、当初の想定以上に利用が増えていることがある。三菱東京UFJ銀行は利用者がコンビニATMを使うたびにセブン銀行などのATM運営会社に手数料を支払っており、コストが膨らんでいる。その負担を利用者に求めることにした。
「もっと自行のATMを使ってほしい」
大手銀行では現在、りそな銀行が時間外を含めた平日と土日祝日のATMの利用手数料を無料にしている。半面、コンビニATMでは、平日は105円かかる(平日夜間、土日祝日は210円。ただし、サークルKサンクスの「バンクタイムATM」は無料)。
現在、コンビニATMが平日昼間に無料で使える銀行は、三菱東京UFJ銀行のほか、地方銀行の一部でもあるが、最近では無料で使える回数を制限したり、有料に切り替えたりする動きがみられる。
他行のATMで現金を引き出す、「全国キャッシュサービス(MICS)」の利用と同じ、1回につき105円を利用者に求めるようになってきた。
ある地銀関係者は、「(コンビニも含め)ATMの設置ポイントは全国ほぼ網羅され、利便性の点では十分と考えている。これからはインターネットや自行ATMの利便性を高めることがポイントと考えていて、お客を自行ATMに誘導したい、もっと(自行の)ATMを利用してほしい、との思いはある」と話している。
ただ、大手銀行や地銀などはこれまで、自行店舗の補完的な役割をコンビニATMに負わせていた。1990年代後半の金融危機以降、銀行はリストラで多くの店舗を閉鎖してきた。その際に、コンビニATMへの利用を促すことでお客の減少を食い止めてきた経緯がある。