沖縄県の尖閣諸島を舞台にしたゲームが2013年8月1日、中国のゲームメーカーのウェブサイトで公開された。
その内容は、尖閣諸島に押し入った主人公が次々に自衛隊員とみられる兵士を射殺していくという過激なもので、今後、日本側の反発を呼ぶことになりそうだ。
11年に開発された教材用ゲームをバージョンアップ
ゲームのタイトルは「光栄な使命」(光栄使命)。「FPS」(ファーストパーソン・シューティングゲーム)と呼ばれる、主人公が武器を使って敵を倒すアクションゲームだ。元々は人民解放軍の南京軍区と民間企業が2011年に共同で開発し、兵士に教材として配っていたが、バージョンアップしてネットワークゲームにも対応した。新たに追加された内容の中に、尖閣の場面も含まれている。
ウェブサイトに公開されているデモ動画によると、ゲームでは「釣魚島を(尖閣諸島の中国名)防衛せよ」と称して、主人公が尖閣諸島に侵入。島内の施設に押し入って次々に兵士を狙撃するという内容だ。銃撃された兵士はうめき声を上げながら倒れ、画面には旭日旗のアイコンと日本人の名前が表示される。「自衛隊」の文字も確認でき、日本を敵国として位置づけていることが分かる。
公開された8月1日は、人民解放軍の創設記念日
ゲームには中国がウクライナから購入した初の空母「遼寧」も登場。ゲームを通じて国威発揚を図る狙いがあるとみられる。実際このゲームは、13年7月に上海で開かれたゲームショー「China Joy」でも試作版が披露され、多くの来場者を集めた。この意味では、ある程度開発の目的を達成しているとの見方もできそうだ。
また、ゲームが公開された8月1日は、人民解放軍の創設記念日にあたる。
尖閣諸島をめぐって日本側を敵視するゲームが話題になるのは今回が初めてではない。例えば12年6月には、「保衛釣魚島」(釣魚島を守ろう)と題したiPad向けのゲームが公開され問題になった。
「さまざまな種類の『鬼子』が登場するので、侵略者を殺戮する快感を味わえる!」
といううたい文句で、レーザー攻撃された日本兵がバラバラに飛び散り、首だけが残る様子も描かれるという内容だった。
ただし、過去の尖閣ゲームは民間企業が独自に開発していたのに対して、今回発表された「光栄な使命」は人民解放軍が開発に関与しているという面で従来と異なり、波紋が広がりそうだ。