関東圏(1都6県)の高校生の「志願したい大学」は、明治大学が5年連続で1位――リクルートマーケティングパートナーズが行った「大学ブランドランキング」調査で、こんな意識が明らかになった。
明治は2013年度の一般入試で10万9934人が志願し、2位の早稲田大学を抑えて4年連続で志願者が日本一になった実績がある。今回の調査でも明治人気は変わらず、総合1位はもちろん、昨年の調査で3位だった女子が1位に浮上し男女ともトップを占め、文系・理系別の各部門でも初めて1位となり、「完全優勝」を飾った。
MARCHクラスの有名私大の人気が高い
「志願したい大学」は男女別、文系・理系を合わせた全体で(1)明治(2)早稲田(3)青山学院(4)日本(5)立教(6)法政(7)慶応(8)東洋(9)中央(10)千葉――の順だった。近年は景気低迷の影響で「受験生は受かりやすい大学を受験する安全志向が強い」という。確かに人気ランキングは明治、早稲田、日本など入学定員が多いマンモス大学が上位を占めている。
入試難易度が高いとされる大学の中では、早稲田は2位、慶応も7位にとどまったが、上智は11位、東京が14位。偏差値の高さと人気は一致しない。国公立大では千葉が唯一のトップ10入り。埼玉が13位、首都大学東京、筑波大、横浜国立大が東大と並ぶ14位。全体として国公立大よりもMARCHクラスの有名私大の人気が高いのが特徴だ。
これまで4年連続で志願者1位の明治は「キャンパスの施設整備や新学部の設置など教育環境の整備、充実を図っているほか、『就職の明治』として学生の就職キャリア支援にも力を入れていることなどが、受験生や保護者から高い評価を受けている」(経営企画部広報課)という。一度の入試で複数学部への出願が可能な「全学部統一入試」を全国8都市で行うなど、積極的に受験生を集めていることも、人気の理由のようだ。
しかし、現役の明大生の間では「第1志望の早稲田に落ちて、明治に入学した学生が少なくない」という。「昔から明大生は早稲田に落ちて、なにくそ!と頑張る。それが明治の精神だ」(明治OB)と、自虐的な声も聞こえる。
進学率アップで志願者の変容も
かつて大学志願者のトップといえば、早稲田の指定席だった。慶応などに比べて学部数や定員が多く、入試問題も比較的平易で、「頑張れば受かるかもしれない」という期待が受験生にあったからだろう。とりわけ地方出身の受験生にとって早稲田のブランド力は高く、日東駒専など中堅私大を受験する高校生も、東京に行った「記念受験」と称して、早稲田を受験するケースも多々あったという。
明治も入試問題の平易さや定員の多さでは早大と似ており、入試問題が難解なうえ定員が少ない慶応や上智などに比べて受験しやすいと感じることも人気の理由かもしれない。実際、明治の全学部統一入試と上智の一般入試が重なった場合、「上智が第1志望の受験生以外は、安全重視で圧倒的に明治を選ぶだろう」(現役大学生)という。
1960年ごろまでは大学進学率は10%程度にすぎず、大学受験には、それなりの気構えと勉強の積み重ねが必要とされた。それが70年ごろには20%前後に。さらにその後も伸び続けて、現在では50%超となっている。「人気大学」の変化の背景には、こうした進学率のアップと、とにかく「入りやすい大学」を選ぼうとする受験生が増えるなど、志願者の意識が変化してきたこともありそうだ。
駿台予備学校によると、2013年度入試で全国の主要私立22大学の志願者数は3年ぶりに増加したが、早慶は志願者が減少。明治は4年連続最多だったが、実数は学部新設にもかかわらず3年連続で減少した。「明治は既存学部の比較では大幅に志願者が減少している。規模が大きい難関大を敬遠する近年の受験生気質が影響している」(駿台予備学校情報センター)との指摘もある。果たして来春の入試でも明治が早稲田を制して5年連続の日本一に輝くか。「受験の早明戦」が気になるところだ。