北朝鮮、休戦60周年記念で「融和ムード」演出 日本からも参加多数、共同通信が「花」贈る

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   これまで強硬姿勢を続けてきた北朝鮮が一転、融和姿勢に乗り出した。2013年7月27日に行われた朝鮮戦争休戦60周年記念の軍事パレードの観覧席では、金正恩第1書記と中国の李源潮国家副主席が並んで笑顔を見せる一幕があった。外国からは異例の数の代表団も招待された。日本からは北朝鮮との関係も深いアントニオ猪木氏も訪朝しており、国際的な孤立ムードを抑える狙いもあるとみられる。

正恩氏が演説しなかったのは中国を刺激しないため?

   パレードでは、放射性物質を示すマークがついたカバンを持った一団が登場。今後も核兵器の開発を続ける意思の表れとみられる。その反面、CNC(コンピューター数値制御)と書かれたパネルの乗せた車もお目見えした。CNCとは工作機械をコンピューター制御する技術のことを指し、軍事以外にも技術を持っていることをアピールする考えのようだ。

   軍を鼓舞する演説は朝鮮人民軍の崔竜海(チェ・リョンヘ)総政治局長らが担当し、正恩氏はスピーチしなかった。この背景には、正恩氏が口を開いた場合、やはり国外に対して攻撃的な内容にならざるを得なくなるため、中国などを刺激することを警戒したとの見方も出ている。

   日本との距離を縮めたい様子もうかがえる。

   参院議員に当選したばかりのアントニオ猪木氏は、7月26日にマスゲームを観覧。朝鮮中央通信によると、7月28日にはドミニカ、ウガンダ、ラオスからの代表団に続いて、北朝鮮のナンバー2にあたる金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長と会談している。

共同通信、「敬愛する金正恩元帥のご健勝を謹んで祈ります」

   日本メディアにも接近を図っているようだ。この一連の式典では、NHKや民放各社が現地に取材団を派遣。軍事パレードを目前で取材することが許されるなど、これまでにないサービスぶりだった。さらに、共同通信は取材団とは別に訪問団を派遣。その様子を朝鮮中央通信が7月27日に

「金正恩元帥に偉大な祖国解放戦争(朝鮮戦争)勝利60周年に際して、日本共同通信社から花かごが寄せられた。花かごを訪朝中の石川洋児・日本共同通信社特別顧問が27日、関係者に託した。花かごのリボンには、『敬愛する金正恩元帥のご健勝を謹んで祈ります』という文字が記されていた」

と報じている。共同通信は日本の大手メディアとしては唯一平壌に支局を置いており、休戦60周年を機に関係を深める狙いがあるとみられる。

   朝鮮中央通信によると、共同通信以外にも「日本友好・連帯団体代表団」「朝鮮の自主的平和統一を支持する日本委員会」などが花かごを贈ったという。

菅官房長官、猪木氏会談を「政府としては確認していない」

   なお、日本政府としては猪木氏には外交ルートとしての利用価値はないとみている様子で、「二重外交」との批判が出る可能性は低そうだ。菅義偉官房長官は7月29日午前の会見で、猪木氏が政府の渡航自粛要請を振り切る形で入国したことを強調。金永南氏との会談については

「政府としては確認していない」

と突き放した。会談の内容について事実確認する可能性や、猪木氏が今後も訪朝を繰り返すとみられていることについても、

「政府として改めて事実確認をすることはない。渡航(自粛)要請中で、(要請には)強制力がない。もし(平壌)行かれるということであれば、政府としては同じこと(自粛要請)を繰り返す、ということ」

と述べるにとどまった。

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