毎日暑い日が続いて、仕事帰りに「ビールで一杯」という「ビール党」の人は少なくないだろう。ところが、「キンキン」に冷えたビールは、じつはおいしくないらしい。
霜がつくほど冷えているジョッキに注がれるビールが最高、と思っていたは大きな誤解だったのだろうか――。
「4度以下のビールは、飲む価値ない」
インターネットで「冷え過ぎたビール」が話題だ。夏の暑い日に、冷たいビールをくぅ~と飲むのは爽快。ところが、ニューズウイーク日本版(2013年7月22日付)は「美味しいビールほど冷やすと台無しに?」の見出しで、「『キンキンに冷やす』という間違った常識が、せっかくの芳醇な味わいを殺してしまう」と報じ、「冷え過ぎビール」に異を唱えた。
それによると、地ビール好きの筆者は「キンキンに冷やした霜付きジョッキ」のブルックリン「ペナントエール」に閉口。「店側は善意でやったのだろうが、地ビールをそんな状態で飲むのは無意味だし、罰当たりですらある」と記している。
さらに、「適温が4度以下というビールで、飲む価値のある物はない」とまで断言。「味の薄い大量生産品は、冷やせば炭酸の刺激が強まるから好都合。大手は自社製品の風味のなさを自覚しているからこそ、冷たさを強調して売っているのだ」と指摘している。
キリンビールは、「欧米には常温で飲むとおいしいビールがあります」という。
ただ、キリンビールでは「そういった(種類の)ビールは当社にはありません」。飲みごろの温度は、人によって好みが違うが、「おおむね5~8度が目安」としている。
たしかに、冷やし過ぎはよくないようだ。同社によると、ビールは冷やし過ぎると「寒冷混濁」という濁りが生じると説明。冷やし過ぎのまま放置すると、「この濁りが温めても消えなくなってしまうんです」という。
キリンビールは、「北海道や東北の寒冷地へのビール輸送にはシートカバーなどで寒さを防ぎ、冷え過ぎないように注意しています。ビールはマイナス3度程度になると凍結することがあり、凍結すると品質が低下するだけでなく、容器内の圧力が高まり、瓶割れや炭酸ガスが抜けてしまう恐れがあります」と話している。