日韓通貨スワップの延長要請をしなかったことについて、韓国メディアが「日本の策略に応じなかった」と報じたことが様々な憶測を呼んでいる。何かあっても、結局は日本が悪いと言い出すのではないか、といったものだ。
通貨スワップは、外貨を融通し合うことで金融市場を安定させるのが目的だ。これまで通貨危機などがあるたびに、スワップが役立ってきたと言われている。
「物ごいをさせて政治利用しようとした」
特に、外貨準備高に不安がある韓国は、その恩恵を最も受けるとされる。
ところが、日韓スワップ130億ドルのうち、30億ドル分について、韓国から延長要請がなく、日本政府は2013年7月3日の期限での打ち切りを決めた。そのことについて、韓国が要請しなかったのは日本に原因があると報じる韓国メディアが出てきた。
大手通信社「聯合ニュース」の6月24日付記事では、右傾化した安倍晋三政権が、韓国に物ごいをさせて政治利用しようとしたが、韓国政府は応じなかったと報じた。韓国は、スワップを経済問題と考えており、日本の策略通りに動く必要はないと判断したというのだ。
真相ははっきりしないが、韓国は、これまでも日本に感謝する姿勢は見せず、むしろ竹島問題などで日本に譲歩を迫ることが多かった。
それだけに、日本のネット上では、韓国が延長要請しなかったことについて、「日本からスワップ協定の延長をお願いに来ると思ってたのかw」「プライドではなく見栄だ」などの疑問が相次いでいる。中には、「これで韓国経済が混乱したら 全部日本の責任にする気満々だな」「すぐ泣きつくよ 日本が悪いっていいながら平気な顔して被害者ぶって」といった厳しい声も出ていた。
国際金融アナリストの小田切尚登さんは、韓国がスワップを延長しないままでは自らの首を絞めるだけのはずだと指摘する。
「韓国は自ら損をするだけになる」
「韓国は、いいときはいいかもしれませんが、輸出に依存しているので、金融システムは経済の変動には弱いんですよ。世界経済が不安定になれば、通貨スワップは、安全弁やクッションの役目になります。ですから、スワップがなければ、韓国は自ら損をするだけになってしまいます」
今後はどんな危機があるか分からないとしながらも、韓国は、経済に陰りが見え始めている中国との取引が多く、その影響などを受けるかもしれないと小田切尚登さんはみる。
もっとも、日本は韓国に経済支援をしている立場ながらも、スワップ縮小は、日本にもデメリットはあると言う。日本も韓国に輸出するなど経済的なつながりがあり、韓国が元気でないと日本にとってもよくないからだ。
ただ、小田切さんは、日本は、支援することで韓国でのイメージが上がることを期待していたが、韓国に日本への感謝が見られず、国民もメリットを知らされていないことなどから、日本政府がスワップの意味を見い出せなくなっていると指摘する。
今後、韓国が延長しなかったことを日本の責任にする可能性はあるとして、「日本の外交はこれまで弱かったのですが、『韓国が必要ないと言ったので、延長しなかった』と厳しい姿勢で交渉を進めることが大事でしょうね」と言っている。