パソコン遠隔操作事件で、共同通信と朝日新聞の記者らが不正アクセスをしていたとして書類送検された。両社は正当な取材行為だったとする一方、ネット上では異論が出ており、認識に違いが見られる。
「不正アクセス」は、共同通信記者のケースで2013年4月11日にまず発覚した。共同は社内調査で分かったと報じたが、ログイン履歴とされるものがネット上で暴露されており、いずれ判明する事態だったとみられる。
共同は「行き過ぎ」からコメント変える
報道によると、共同の2人と朝日の3人は、12年10~11月にそれぞれ、片山祐輔被告(31)が犯行声明を弁護士らに送るために使ったとされるフリーメールサイトのサーバーに1~3回ほど侵入したとして、不正アクセス禁止法違反の疑いがかけられている。記者らは、アクセスに当たって、片山被告が使っていたとみられるパスワードを入力していた。
パスワードは当初、犯行声明メールの内容から類推したとされていた。そして、真犯人が使ったとみられる別のフリーメールのパスワードが、12年10月9日の犯行声明メールに書かれていたと報じられていたことから、共同の記者は、このパスワードを使って「不正アクセス」したとの見方がネット上で出ている。
共同は当初、「真犯人に近づく目的だったが、取材上、行き過ぎがあった。厳正に指導する」との編集局長のコメントを出していた。しかし、今回は、行き過ぎとは言っておらず、「形の上では法律に抵触する可能性がありますが、事件の真相に迫るための取材行為だったことを捜査当局に説明し、理解してもらえたと思います」との社会部長コメントをマスコミ取材に出している。
その理由は明らかにしていないが、フリーメールのパスワードが同じであることはメールから読み取れるとして、「形の上」だけでの違法の可能性に触れたとも言えそうだ。