2014年のサッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会に向けて、アジアでは日本に続いて豪州、イラン、韓国が出場権を手にした。
イランと韓国は予選突破をかけた直接対決とあって、対戦前から両監督が舌戦を繰り広げた。試合はイランが制したが、終了後に韓国ベンチを挑発気味に駆け寄ったイランの選手に対して、韓国側のスタッフと見られる人物が殴ったように映る動画がインターネット上を賑わせている。
「FIFAはフェアプレーに反する行為に厳しい」
「事件」は試合終了後に起きた。2013年6月18日のW杯アジア最終予選で、イランが1-0で韓国を下した。自力でW杯出場を決め、歓喜に沸くイランの選手やスタッフはピッチ上で国旗を掲げ、韓国代表チームやスタンドの韓国ファンに誇示するかのように走り回る。一部は韓国ベンチに迫り、黒いユニホーム姿のイランの選手が急接近すると韓国側スタッフと見られる男性が左腕で押し返す。その勢いでふらついたイラン選手に、別の韓国人男性が左手で顔面をたたいたように見えた。
その後選手は、審判と思われる男性を呼び寄せて何やら訴えているようだ。味方選手も近づく。一方の韓国側スタッフも「来るなら来い」と言わんばかりの様子だ。両者はそのまま離れ、大きなもめごとには発展しなかった。
ネット上に出回っている映像がやや不鮮明ではあるが、試合後とはいえもし相手選手を殴ったとなれば問題ではないか。試合中に選手同士が小競り合いという場面は見かけるが、プレーを離れた時間、場所での「暴力行為」となるとあまり例がなさそうだ。
仮に本当に殴打したなら、国際サッカー連盟(FIFA)はそのままにしておかないだろうと「フットボールレフェリージャーナル」を運営するサッカージャーナリスト、石井紘人氏は指摘する。「FIFAはフェアプレーの精神に反する行為に厳しくなっています。殴っていたとすれば、何かしらのペナルティーが科せられる可能性は高いでしょう」。
では、どのような処分があり得るか。石井氏はひとつの例として「次回、韓国の主催試合が『中立地』で実施されるかもしれません」と話す。思い出すのが2006年のW杯ドイツ大会のアジア最終予選だ。今回のケースとは違うが、北朝鮮代表がホームゲームの際、サポーターが暴徒化して客席からモノをピッチに投げ込んだり、相手国選手を取り囲んだりと危険にさらした。その「罰」として、次のホーム開催権利がはく奪され、該当試合だった対日本戦はタイ・バンコクでの無観客試合が命じられたのだ。