国際教養大学は「就活予備校?」 週刊誌ウェブ記事に学生がネットで反発

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   開校9年目で就職率100%、国内大手企業への就職率も高い――グローバル人材の育成を標榜し、破竹の勢いで実績を重ねてきた秋田県の国際教養大学(AIU)が「就活予備校」ではなどとネットで言われ、在学生たちが怒っている。

「私は就職をするためだけにAIUに入ったわけではありません」

就職率や偏差値が一人歩き「中身は本当にそれ相応なのでしょうか」

「国際教養大学の問題点」がネットで話題(写真は、AIUホームページから)
「国際教養大学の問題点」がネットで話題(写真は、AIUホームページから)

   国際教養大学は2004年に開校。授業はすべて英語でおこなわれる。前述の就職の強さに加え、偏差値も最近では旧帝国大学に並ぶほどになった、とマスコミにもてはやされることしきりだ。

   ところがこの風潮に、「週刊プレイボーイ」のウェブサイト、「週プレ」が噛み付いた。「企業からは『使いにくい』の声も……。"エリート養成校"国際教養大学の問題点」と題する記事を2013年6月12日、掲載したのだ。

   記事では、人材コンサルタント・常見陽平さんのコメントとして、同大の就職率や偏差値だけが強調され伝えられることに対して、「中身は本当にそれ相応なのでしょうか」との疑問を書いた。

   同大の弱点としてあがっている何点かのうち、ネットでとくに話題になっているのは就職とかかわる部分だ。企業や社会人との接点が東京に比べて少ないことについて、「AIUの学生は、そこが心配。実際に企業側からは『使いづらい』という手厳しい評価もある」(常見さん)。続けて、入って4年で企業を辞めたOBのコメントをはじめ、職場に「能力が生かせない」というような不満を持って辞める卒業生の例をあげた。

   これに学生たちが反発した。AIUが就職予備校のように言われた上に、「使いづらい」と批判されるのは不当だと言う。

「国際教養大学は東京から遠くて社会のことを学べないとか書いてあるけど、秋田をバカにするなと思う。秋田だろうが東京だろうが、意欲をもって自分から動けば自ずと人との繋がりはできる」
「AIU生で大企業に入りたいとか就職率とか狙って入学してきた人を見たことがない」
「使いやすい人間欲しいんだったらソフトバンクみたいに直営の大学でも作れって」

「グローバル人材」として育つと日本の企業にあわない?

   「うちの学生は少し尖がっているのが、他の大学より多いといえば多いんでしょうね」――国際教養大学の担当者は、「使いづらい」という見方に対してこう話す。ただ、卒業生が「ミスマッチ」を感じて早々に辞めてしまうらしいことについては、

「もう少し我慢しようよ、という気持ちですけどね。『こういう人材が欲しい』ということで採用されているわけですから、企業のほうにもそれぞれ人材育成の方針があるでしょうし…」

と、双方の事情を慮りながら話していた。

   ネットでは、「グローバル人材」として育った彼らに日本の企業風土はあっていないのではないか、最初から海外で活躍してはという意見もあるが、これにも現実的な見方を示す。

「英語だけの授業の成果で、日本では能力が高いと評価していただいていますが、完全に英語だけで(国際社会で)太刀打ちできるのかと言うとそれは…」

   もちろん、英語一辺倒で教養がおろそかになっているという意味ではない。同校の卒業生の就職先は国内のメーカーが多く、そこでは能力はおおいに評価されている。ただ、同大ではそれだけではなく、国際機関や、多国籍企業といったところで、他国の人材と対等に渡りあえるように教育することに「今後重点をおいていきたい」という。

   要するに、こういった世間がイメージする「グローバル人材」育成は、文科省の事業採択を受けて、今後力を入れていく分野なのだという。

「この10年間はもがきながらやってきました。もちろん、問題点が全然ないわけではないですし、これから、足りない点は補うよう、良いところは残すよう、やっていきたいですね」(同大)

   なお、常見さんもツイッターで「結構語ったのに掲載は少しでしたな。より丁寧に説明したい部分や、ご批判(というか多くは揚げ足だけど)頂いた部分の回答もしたいです」と記事が言葉足らずになったことに不満を滲ませてはいた。

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