準備期間2日、約130のセリフ覚えきった 「代役」宮沢りえ、「女優なら当たり前」なのか

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   天海祐希さん(45)が軽い心筋梗塞で降板したことを受け、舞台「おのれナポレオン」は、宮沢りえさん(40)の代役で千秋楽を終えた。

   準備期間2日で約130のセリフを覚えきり、完璧な演技だったとワイドショーで大絶賛されている。そんなにすごいことなのか。

「流れがあるからプロの役者にとってはそんなに難しくない」

   「おのれナポレオン」は三谷幸喜さんが作・演出を手掛け、野田秀樹さんが主演を務める。2013年4月9日から5月12日にかけて、全40ステージの予定で東京芸術劇場で上演された。天海さんは5月6日14:00からの公演終了後に体調不良を訴え、軽い心筋梗塞により降板することが決定。8日19:00、9日14:00上演は中止となり、5月9日19:00の回(後に中止と発表)から天海さんの代役を宮沢りえさんが務めることが発表された。

   ツイッターでは、観劇した人から、

「宮沢りえ、緊張感を見せない安定した出来。さすがにカーテンコールではホッとした表情となったが、上演中は、本の持ち方を取り違えるくらいで、セリフ問題なし。そして美しい。恐るべし」

などと感嘆の声が上がり、千秋楽後の2013年5月13日朝のワイドショーも各局、宮沢さん一色に。

   天海さんバージョンと比べて、出番とセリフは削られ、一部が本を読みながらセリフを言うシーンに変わったものの、準備期間約2日間で約130のセリフを覚えきり、完璧な演技でスタンディングオベーションを受けたと絶賛のコメントが紹介されまくった。

   しかし、芸能評論家の肥留間正明さんによると、こんなことは「素人じゃないんだから、もう40歳の女優なら当たり前」だという。

「何人もの俳優にインタビューしたけれど、2時間ドラマなどの場合でも1日か2日、部屋にこもって台本読んで流れをイメージすれば覚えてしまうと言いますよ。英語を覚えるのとはわけが違って、流れがあるからプロの役者にとってはそんなに難しくない。演出も時間がないから、自分の色でやっていいだろうし」

   もちろん、一人一人は1日から2日で済んでも、全体の流れをつくりだすには1か月程度の稽古は必要だという。今回は天海さんと周囲がすでに流れをつくりあげていて、そこに宮沢さんが入っていったからこそ、うまくいったというわけだ。

「宮沢さんの負担を減らすために台本を書き換えました」

   三谷さんも、13日のめざましテレビ(フジ)に寄せたコメントで、宮沢さんのがんばりはいくら賞賛して足りないと前置きしつつ、こう強調している。

「天海さんが1ヶ月の稽古で作り上げたものを 宮沢さんが2日でやってのけたわけではありません。
宮沢さんの負担を減らすために台本を書き換えました。
出番を減らしセリフを削りました。
つまり新しい台本を作ったのです。
宮沢さんが2日で舞台に立てた陰には、その新しい台本で深夜まで稽古をしたキャストとスタッフの努力があることも忘れないでほしい」

   また、代役を立てるのもよくあることで、1979年に関根恵子さんが恋人と海外に逃避行して舞台を急遽降板した際には、市毛良枝さんが代役のオファーを受けて12時間後に舞台で演じていたことがあったという。

「できないって言ったら一生仕事こないですよ。覚えられないって言ったらバカかって話」(肥留間さん)

   代役はある意味、スターに駆け上がるための「大チャンス」。古くはポール・ニューマンをはじめ、多くの俳優・女優が代役で名を売って出世した。肥留間さんは、ある俳優が事故で降板した際、テレビ局に代役をもらおうとマネージャーらがずらりと並んだ場面も見たことがあるという。

   そんな中、今回宮沢さんが天海さんの代役に抜擢された理由をこう分析する。

「(すでに名の知られた)彼女にとっては、もうチャンスとかいうわけではないでしょうけど、安心してみていられるということですね。天海祐希の向こうを張れるという意味で、彼女がベストだった。今回たまたまスケジュール空いてたっていうのも、そういうラッキーさが彼女の中にあったということは言えるでしょうね」

   そして、こうもいう。

「数々の修羅場を潜り抜けてきた彼女にとっては、お茶の子さいさいの仕事だったんじゃないですか」
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