環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の日本の交渉参加時期を巡り、日本政府が慌てている。既に交渉を進めている11カ国から2013年4月20日、ようやく日本の参加への承認を得たうえ、米議会でも日本参加の承認手続きが始まったものの、日本が目指していた7月の拡大交渉会合からの参加が実質的にはかなわない恐れが出てきたためだ。
日本政府は関係各国に会合の期間延長を求めたものの、まだ正式な交渉参加国ではない日本の要請がどこまで受け入れられるかは見通せない。
冒頭からの参加は可能とみられていたが…
TPPの7月会合は、マレーシアで7月中旬以降に開かれる方向で調整が進んでいるとされる。具体的な開催期間や開催場所については、5月15日からペルーで開催される拡大交渉会合で正式決定する見通しだ。
TPPの交渉参加11カ国は5月と9月に拡大交渉会合を開き、10月にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に合わせてTPP首脳会合を開催、年内に大筋合意に至ることを目指している。ただ11カ国は日本の交渉参加などを受け、7月にも臨時的に会合を開く計画を示しており、日本は7月からの交渉参加が最短の合流機会になるとみて、各国の承認を得るための調整を急いできた。
4月20日にはAPEC貿易相会合と同時に開かれたTPP閣僚会合で日本の参加がようやく承認され、日本政府の強い要請を受ける形で米政府は24日、議会に日本の参加を認める意向を通知。米議会では90日議論する「90日ルール」があるため、この間、日本は交渉に参加できないものの、7月23日以降にTPP会合が開かれれば冒頭からの参加は可能とみられていた。
日本は会合の最終段階で限定的に参加できるだけ?
しかし、7月の会合期間は「15日ごろから25日ごろで調整している」との情報が浮上。たとえ米議会で順調に手続きが進んだとしても、この情報通りだとすると、日本は会合の最終段階で限定的に参加できるに過ぎず、日本の立場を表明するには十分な機会が与えられなくなる可能性がある。しかも、7月会合を除けば、あとは最終会合の場になるとされる9月会合を残すだけで、日本の意向をTPP交渉に反映させることがかなり難しい状況となる。
日本政府は焦燥感を募らせ、米国をはじめ関係各国に「7月の会合をできる限り後ろ倒ししてほしい」と要請。「途中参加はやむを得ないとしても、少しでも日本の交渉参加の期間が増えるように求めていきたい」(政府関係者)とする。
ただ、「ぎりぎりともいえる最終段階の交渉参加で日本にかきまわされたくないと考える交渉国もある」(政府関係者)との指摘もある。日本の対応次第では各国の反発も招きかねず、日本政府の厳しい立場は続きそうだ。