韓国の兵務庁が在日韓国人に兵役に就くよう呼びかけると韓国メディアが報じたとの情報が2ちゃんねるに流れ、祭り状態の騒ぎになっている。韓国大使館は、「まったく根拠のない話」だとその情報を否定している。
2ちゃんに情報が流れたのは、2013年5月2日ごろだった。韓国メディア「ニュース1コリア」の前日付サイト記事について、2ちゃん記者が日本語翻訳して紹介したのがきっかけだ。
韓国メディアが報じたとの情報流れ
その記事によると、兵務庁は、8月から国防関係者を海外に派遣して、海外の永住者に兵役の義務を果たすようお願いすることになった。そして、派遣を前にして、国防関係者に5月1日にソウルの空軍会館に集まってもらい、兵務行政の説明会を開いたと報じた。
そこで、兵務庁の担当者は、「海外の兵役義務者は、15万人余にもなっている。進んで兵役に就くケースも増えたが、彼らの気がかりなことを解消するとともに、兵役について理解してもらうよう努めてほしい」と述べたという。派遣を予定しているのは、アメリカや中国、カナダなど16か国だとした。
特別永住者の在日韓国人は、これまで兵役が免除されており、記事でも、派遣先に日本が含まれるとは書いていない。しかし、2ちゃんでは、「『在米・在日などの在外同胞は祖国を助けて欲しい』兵務庁が兵役呼び掛け、各国へ召集派遣」といったタイトルで記事が紹介された。そして、6日までに80もスレッドが立つなど祭り状態になっている。
スレを見ると、「これは韓国政府を支持w」「帰国&兵役おめでとう」「日本も支援するべき」などの書き込みがほとんどを占めていた。
そうなれば、「駆け込み帰化申請も増えそうだ」として、「帰化条件を厳しくしろ。スパイが増えるだけ」といった指摘も出ていた。
兵役が帰化の前提かについても否定
韓国政府が在日韓国人に兵役呼びかけをする背景として、ネット上では、2016年に在韓米軍の撤退が予定される中、北朝鮮のミサイル問題で緊張が高まっていることがある、などの憶測が出ている。
こうしたことは、どこまで事実なのか。
韓国大使館に取材すると、兵役担当者は、兵務庁による呼びかけの動きについて、「聞いたことがない」と話した。そして、4年前に担当者になってから特別永住者の兵役免除の状況は変わっていないとし、呼びかけについて、「まったく根拠のない話で、それはないと思います」と明確に否定した。
2ちゃんなどでは、在日韓国人は兵役に就かないと韓国籍を離脱できないよう法改正され、日本に帰化できなくなったとの情報も出回っている。これについて、韓国大使館の担当者は、「聞いたことがない」としており、法務省の民事第1課でも、「韓国で兵役に就いたかどうかは、審査の判断材料にはならず、帰化とは関係がありません」と説明している。