カジュアルウェアの「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が、「ブラック企業」といわれることに反論。また、若手の育成方針について話したことがインターネットで話題になっている。
日経ビジネス(2013年4月15日号)の特集「それをやったら『ブラック企業』」でインタビューに応じ、「我が社が本当にブラック企業であれば、社員の数はもっと減っていると思う。会社は発展しない」などと語った。
厳しくするのは「本当の意味での経営者になってほしいから」
「ユニクロ」については、つい1か月前に週刊東洋経済(2013年3月9日号)が「ユニクロ疲弊する職場」を特集したばかり。そこでは新卒社員が3年以内に離職する割合が約5割に達することやサービス残業など、ユニクロが抱える「ブラック企業まがい」の問題点を告発していた。
しかし、そういった報道に対して同社は、「(サービス残業が)過去にまったくなかったということはありません」と認め、新入社員の配置では店長資格の取得後は社員の希望や向き不向きを考慮したり、社員が希望する異動先の部署を拡大したりして社員のモチベーションを高められるように見直す方針を明らかにしていた。
柳井社長も今回の日経ビジネスのインタビューで、「店長として何をすべきかという『技術』ばかりを教育してきた。それが一番の問題であり、失敗でした」と話している。
その一方で、「若いうちは甘やかされず、厳しく育てられたほうが幸せ」との持論を展開。「僕が若い社員に『海外に行ってくれ』と繰り返し言うのは、本当の意味で経営者になってほしいからです。それができなければ、当然、単純労働と同じような賃金しか払えませんよ」と、自らの教育方針を変えるつもりはないとも話している。
ユニクロの競争相手は、スペインのZARAやスウェーデンのH&M、米国のGAPなど、世界の強豪ばかり。企業としても「強くないと生き残れない」し、社員としても先進国や新興国の人々と伍して生き残り競争を戦うのだから、厳しくないわけがないというのだ。
文芸や経済についての文筆家、水牛健太郎氏はブログで、「いかにも強気な姿勢は、実質的な創業者として地方の中小企業を世界展開するまでに育てた経営者としての自信を示している。その一方で、グローバル企業としての柳井氏の危機感にも理解できる点はある」と指摘。「いわゆる『グローバルエリート』と呼ばれる人たちが、猛烈に働いていることは事実」と書いている。