北朝鮮挑発に韓国が「根負け敗北」 経済不安高まり、唐突に対話呼びかけ

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   ミサイル発射が秒読みといわれている北朝鮮が強硬姿勢を崩す気配を見せない反面、韓国が北朝鮮側に唐突に対話を呼びかけた。景気低迷とウォン安が続く韓国経済に、長引く「北朝鮮リスク」が追い打ちをかけた形で、韓国側が事実上「根負け」したとも言える。

   操業停止が続いている開城工業団地の入居企業は「北朝鮮詣で」をしてまで事態の打開を図ろうとする有様だ。

対話呼びかけは「入居企業と従業員に深刻な苦痛を与えている」から

GM会長の発言は韓国経済界に波紋を広げた(写真はGMの保寧工場)(C)General Motors
GM会長の発言は韓国経済界に波紋を広げた(写真はGMの保寧工場)(C)General Motors

   北朝鮮側が一方的に運営の中断を宣言した開城工業団地は、北朝鮮にとって貴重な外貨の獲得源だ。ところが、北朝鮮の中央特区開発指導総局のスポークスマンは2013年4月11日、この点を無視し、国営朝鮮中央通信を通じて、

「李明博かいらい保守一味の『政権』発足後、開城工業地区を破壊しようとわれわれを刺激しながらあらゆる策動を弄した時にもわれわれは、南朝鮮の中・小企業の状況を考慮して民族愛と同胞愛的見地から耐え抜いてきた。これから朴槿恵『政権』までわれわれとの対決を追求するなら、開城工業地区はこれ以上存在不可能になりかねないというのは言うまでもない」

と威嚇を強めた。閉鎖で被害を受けるのは韓国の中小企業だけだと言わんばかりだ。

   同日、韓国の柳吉在統一相は声明を発表し、唐突に北朝鮮への対話を呼びかけた。その中でも、開城工業団地に入居する中小企業への経済的配慮は明確だ。

「南北間協力の象徴である開城工業団地の操業停止は、民族の将来の役に立たず、入居企業と従業員に深刻な苦痛を与えている。そのため、北朝鮮の責任ある対応が求められる。開城工業団地の正常化は対話を通じて解決されなければならず、北朝鮮側が提起することを望む問題を実際に議論できるようにするためにも、北朝鮮当局が対話の場に出てくることを願う」

   中小企業はかなり追い詰められている模様で、聯合ニュースが4月12日に伝えたところによると、中小企業代表の訪朝団約10人が訪朝して対話を呼びかける方針だという。

GM会長は「北朝鮮リスク」で生産拠点移転を示唆

   「北朝鮮リスク」の影響を受けるのは中小企業だけではない。

   米ゼネラル・モーターズ(GM)のダニエル・アカーソン会長兼最高経営責任者(CEO)は4月4日、米経済専門局CNBCの番組で、

「朝鮮半島での緊張が高まれば、生産拠点の移転を検討することがあり得るか」

と聞かれ、「妥当だ」と答えた。GMは韓国に5か所の生産拠点を持っており、約1万7000人が勤務している。会長の発言は、

「世界的企業のトップが北朝鮮リスクを理由に韓国からの生産拠点移転の可能性に言及したのは初めて」(朝鮮日報)

と報じられ、韓国経済への影響を懸念する声が高まった。

   例えば朝鮮日報は、4月10日の論説記事で、

「それ(GM会長の発言)によって、韓国経済や株式市場も動揺している。一方、北朝鮮はさらに勢いを増し、米国経済は好調を見せている。対北朝鮮強硬論では自他共に認める存在の日本も順調だ」

と明らかに焦りを見せた。

   東亜日報も4月8日の社説でGMの会長発言を取り上げてしており、

「危機を解消し経済的被害を阻止できるなら、対話に出なければならない。しかし、北朝鮮に『脅迫が通じる』と思わせてはならない」

とジレンマをあらわにしている。

   このような経済界からの有形無形の要請で、韓国政府も対話路線に踏み出さざるを得なくなったようだ。

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