日本百貨店協会が主催する「ご当地キャラ総選挙2013」で、兵庫・高砂市のキャラクター「ぼっくりん」が地区1位に躍り出る一幕があった。
ところが、1人が制限回数を超えて繰り返し投票する「不正投票」による疑いが浮上した。その結果、ぼっくりんの「選挙辞退」騒ぎに発展、ゆるキャラをめぐる「ゆるくない」裏側が垣間見えてしまった。
「他のキャラクターに悪い」ので辞退してもいいと申し入れる
「ご当地キャラ総選挙」は、その名の通り全国のご当地キャラのインターネット人気投票で、予備選挙、地区予選、決勝投票を経て人気No.1の座に輝いたご当地キャラが、全国の百貨店で「凱旋キャラバン」を行うというイベントだ。
13年3月20日から4月21日までは予備選挙期間で、日本列島を北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州の7地区に分け、それぞれの地区でお気に入りのキャラクターに投票し、地区予選に進出するキャラを決める。
予備選挙では、各地区で3つまで、最大21個の好きなキャラクターを選び、サイト上の「投票する」というボタンを押して投票する。一度ボタンを押すと「投票完了済」となり、もう投票ができなくなる仕組みとなっている。
この予備選挙で、不正投票の疑いが発覚した。近畿地区から立候補している、兵庫・高砂市のキャラクター「ぼっくりん」に、1人が繰り返し投票した可能性がある、というのだ。
高砂市によると、3月20日の投票開始から1日約1000票を得票していたぼっくりんに、3月末、突如1日約2万票が投じられていることに気付いた。4月1日には地区の暫定1位にもなり、「さすがにおかしいのでは」と思った担当者が調べたところ、ある操作で繰り返し投票できてしまうことがわかった。
日本百貨店協会に「不正投票の可能性があるので調べてほしい。もし不正が認められたら、公平性を欠き、他のキャラクターにも悪いので辞退しても構わない」という旨を連絡すると、4月10日に返信があり、「対策を講じるので、辞退は考え直してほしい」と慰留されたため、取り下げたとのことだ。
4月12日現在、ぼっくりんはトップ3の座から陥落している。
「ぼっくりんが不正したみたいな報道で悲しいですりん」
「ぼっくりん」は、高砂市内の神社「高砂神社」にある有名な木「相生の松」の松ぼっくりをモチーフに、09年に誕生したキャラクターで、12年9月から11月まで投票が行われた「ゆるキャラグランプリ2012」では865キャラクター中41位と、かなりの好成績をおさめている。
今回の「選挙辞退騒動」を受けて、ぼっくりんは4月11日、公式ツイッターで「新聞ではぼっくりんが不正したみたいな扱いになってましたりん 悲しいですりん」「不正を問い合わせただけなのにー」と胸中を明かした。
フォロワーから「ぼっくりん全然悪くないし!高砂市の誇り☆」「絶対ぼっくりんが悪い訳ではないからね。だから堂々としててね。ぼっくりんは迷惑してるんだからね。めげないで頑張ってね♪」などと励ましのコメントが寄せられると、「昨日から沢山の励ましのお言葉を頂いて、ぼっくりん本当に嬉しいですりん 皆様ありがとうございますなのりーん」とツイートした。
ご当地キャラ総選挙の公式サイトでは「実行委員会からのお願い」として、「ルールを守って投票されている方達のご意見を尊重するためにも、万が一、ルールを逸脱、抵触した投票であると実行委員会が判断した場合は、これまでの得票ポイントも含めて削除させていただくことがございます」とアナウンスされている。高砂市の担当者も、「お祭りのようなイベントだから、投票する人はルールを守って楽しく参加してほしい」と訴えていた。