長崎県対馬の寺社から重要文化財の仏像を盗んだ韓国人グループは、驚くべき窃盗団だった――。韓国の主要紙、朝鮮日報が綿密な取材でその犯人像に迫った。
全員が10回以上も刑に服した経歴をもち、うちひとりは「前科18犯」という札付き。対馬での犯行計画も練りに練られていたという。都合よく「愛国心」を掲げて自己弁護するが、どうやら単なる悪党の犯罪に過ぎないようだ。
「1年以上の懲役」で日本入国できないはずだが…
対馬を舞台にした仏像盗難事件は、韓国警察が現地で容疑者を逮捕したものの、今も完全解決したとは言いがたい。対馬の観音寺から「観世音菩薩坐像」が、海神神社から「銅造如来立像」が持ち去られたまま、いまだに韓国内にとめ置かれているのだ。韓国にある「浮石寺」が、「仏像は過去に日本が略奪したもの」と主張し、韓国の地方裁判所も「仏像が正当な手続きを踏んだうえで日本に渡ったかを確認するまで、返還してはならない」との仮処分決定を下している。その後、浮石寺の僧が突然、対馬の観音寺を訪問するが住職と会えないまま帰国するなど、ギクシャクした関係が続いている。
韓国側が返却しないのは「もともと自分たちが所有していた仏像」との主張からだ。盗んだ張本人たちも「愛国心」をたてに、自分たちの行為を正当化する証言をしているという。2013年4月9日付の朝鮮日報電子版(日本語)では、これまであまり語られていなかった犯人像を詳しく描いている。
窃盗にかかわったとして摘発されたのは9人で、うち4人が実行犯。主犯と見られる男性が70歳、最年少でも50歳の「高齢者軍団」だ。4人とも人生の大半を犯罪に費やしてきたのか、全員が前科10犯を超え、何度も刑務所に入りながらも改心せずに盗みと服役を繰り返した。主犯格男性の弟もグループのひとりで、文化財荒らしが「専門」だという。
4人とも犯罪歴は常軌を逸しているが、日本入国の際に問題にならなかったのか。出入国管理及び難民認定法を見ると、第5条1項4号で「1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者」は上陸できないとなっている。前科10犯以上なら入国拒否されそうに思えるが、巧みにすり抜けていたのだろうか。4人が仲間に引き入れた盗品の「買い取り屋」が韓国の暴力団組織の顧問で、日本にすんなり入国できるようなあくどい手段に精通していたのかもしれない。