「原発回帰」安倍政権 再稼働の行方(8)
国会でも与党でも「タブー」になっている  脱原発と日米原子力協定の関係

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   民主党政権が掲げた「原発ゼロ」方針に気をもんでいるのが、同盟国の米国だ。日本は日米原子力協定で、核燃料の再処理について米国から事実上「特別待遇」を受けているが、原発や核燃料サイクルがなくなってしまえば、プルトニウムなどの核物質が、使うあてもなく日本国内に残留することになってしまう。核拡散を防ぎたい米国からすれば、これは看過できない事態で、すでに強い懸念を示してもいる。

   だが、どういう訳か、国会ではその存在について議論されることは、ほとんどないと言ってもいい。

核保有国以外で唯一核燃料サイクル持てる「特権」

米国は原発の燃料の行方を懸念している(写真は東京電力柏崎刈羽原子力発電所)
米国は原発の燃料の行方を懸念している(写真は東京電力柏崎刈羽原子力発電所)

   協定は1955年に成立し、核物質の再処理と第三国への移転などについて定めている。88年に現行協定が発効し、使用済み核燃料の再処理について包括的同意方式を導入。日本政府からすれば米国から個別に同意を得る必要がなく、再処理の自由度が大幅に増した。核保有国以外で米国が核燃料サイクルを持つことを認めているのは日本だけだ。協定は30年間有効で、次の改訂は2018年。まだ5年あるが、1988年の交渉に時間がかかったこともあって、時間的猶予はあまりないとの指摘もある。

   そこに出てきた民主党政権の「2030年代までに原発稼働ゼロ」方針だ。ここでは、核燃料サイクルは継続するとしているが、再処理した燃料の使い道がないという点には変わりない。日本は国内に9.3トンのプルトニウムを保有し、国外に再処理を委託している分を含めると、さらに多い。この行方が米国の関心事だ。

   実際に、エネルギー省のダニエル・ポネマン副長官は、2012年9月11日(米国東部時間)にワシントンで民主党の前原誠司政調会長(当時)と会談した際、この点について強い懸念を伝えている。

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