家電エコポイントの反動で苦戦が続いている薄型テレビ商戦で、シャープやソニー、東芝などの家電大手は「大画面」に活路を見出している。
家電量販店は「技術の向上で、高画質のフルハイビジョン・タイプが登場している」とし、家庭用薄型テレビで50型クラスの「大画面」が売れてきたという。
データ放送の広がりで、テレビの「見方」が変わってきた?
家電量販店の販売状況を調査しているGfKジャパンが2013年2月20日に発表した2012年の薄型テレビの販売台数は、前年比60%減の837万台。1000万台を割り、家電エコポイントとアナログ停波による特需の反動は大きかった。
そうした中で、家電大手は55型や60型といった「大画面」テレビに力を入れており、50型以上の構成比は、台数ベースで11年の2%から5%に、金額ベースでは7%から18%に伸ばした。
大手家電量販店のヤマダ電機によると、大画面テレビは50型クラス、20万円台~30万円台の価格帯が売れ筋。「5年~7、8年前に32型を購入された方が買い替えるケースが多いようですが、32型では物足りなくなっているみたいです」と話している。
いま「大画面」が人気なのは、なんと言っても価格が下がったこと。50型クラスは、以前であれば50万円を下らなかったが、それが「メーカーによっては20万円を切る価格のものもあります」という。
それに、大画面でもブラウン管テレビのような圧迫感がないこともある。
大画面テレビを、ホームシアターとして映画鑑賞やスポーツ観戦を楽しむ人が増えているが、「最近はデータ放送の利用が広がってきて、文字放送やテレビ番組表などを『大きな文字で見たい、確認したい』という方が増えています」といい、テレビの「見方」が変わってきたことも、人気の背景にあるようだ。
決め手は「高画質」、色の鮮やかさ
ユーザーが大画面テレビを選ぶ「決め手」はやはり高画質にある。大画面ほど映像のブレや画質の粗さが気になるからだが、前出のヤマダ電機によると、「最近は技術力がかなり上がっているので50型クラスのフルハイビジョン・タイプであれば、画質はほとんど気になりません」と話す。
家電大手も、その「高画質」を競う。注目は、シャープの「AQUOSクアトロンXL9」。大画面テレビは、ふだん明るい部屋でモニターを見ると、照明や外光の影響で自分の顔や後ろにいる家族の姿がモニターに写りこんでしまうことがある。
シャープは、パネル表面にナノ単位の微細な突起を施した、蛾の目(モスアイ)のような構造の「モスアイパネル」を搭載し、「映り込み」を抑え、自然で見やすい映像を実現。さらに、従来の光を拡散させる低反射方式とは異なり、映像の発色がストレートに映し出されるので、液晶パネルの3原色(赤・緑・青)のサブピクセルに黄色を加えて表示する「4原色技術」の高い色表現力と相まって、コントラストのきいたクッキリ鮮明な映像を実現した、としている。
一方、ソニーの「BRAVIA HX950」シリーズは「BRAVIA史上最高画質」をアピール。パナソニックの高画質液晶「スマートビエラ DT」シリーズやハイエンドモデルの「WT」シリーズは発色がよく、画面が鮮やかと人気。東芝の「REGZA Z7」シリーズも、「ブランド最高峰の高画質」とのふれ込みだ。