「アップルを負かした」英判事 サムスン特許訴訟の法律顧問に就任

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   スマートフォン(高機能携帯電話)などの通信技術をめぐる特許権の侵害で、米アップルと韓国のサムスン電子が熾烈な訴訟合戦を繰り広げているなか、サムスンに強力な法律顧問が就いた。

   なんと、英国の裁判でサムスンを支持した元判事が就任したというのだ。

アップルの「謝罪文」にダメ出しした判事

   CNETは、アップルとサムスンが「iPad」などの特許侵害をめぐり対立した英国での裁判で、サムスン側の訴えを支持した判事であるRobin Jacob氏が、現在サムスンの法律顧問を務めていると、2013年3月1日に報じた。

   またFOSS PATENTSは、特許法のエキスパートであるFlorian Mueller氏の調べとして、Jacob氏が現在、サムスンが係争中のエリクソンとの特許問題で、サムスンの特許エキス パートとして名前があがっていることを見つけた、と伝えている。

   どうやら、Jacob氏は特許に強い法律顧問としてサムスンに雇われているようなのだ。

   Jacob氏は12年7月、サムスンの「Galaxy Tab」がアップルの「iPad」のデザインを模倣しているとして、アップルがサムスンを提訴した裁判で判事を務めていたうちの一人。

   英国での裁判は、サムスンに特許権を侵害されたと主張するアップルの訴えを退けるとともに、アップルに対して、「サムスン製品による模倣はなかった」旨の通知を同社のウェブサイトやFinancial Timesなどのマスメディアに掲載するよう命じていた。

   アップルはこの命令が出されてから約3か月後に、通知をウェブサイト上に掲載したが、その文書は、「サムスン製品はアップル製品ほどcoolではない」との判決理由を引用したり、サムスンが敗訴した米国やドイツでの判決を紹介したりする内容となっていたため、「謝罪文」にあたらないことを理由に、アップルに「書き直し」を命じた。

   しかもアップルに対し、掲載した文書を24時間以内に取り下げ、48時間以内に再掲載することや、EU各国のアップルのウェブサイトのトップページに1か月にわたって判決へのリンクを張ること、英国主要メディアにも文書を掲載すること、さらに「Arial 14以上」など、通知を掲載する位置やフォントサイズまで指定するという異例なものだった。

   その「書き直し」を命じた判事がJacob氏だった。

訴訟によって異なる判決

   「iPad」などをめぐるアップルとサムスン電子の特許侵害訴訟は、2013年1月末に米カリフォルニア州北部連邦地裁が、アップルが主張する「iPad」と「iPad2」の独特の外形、いわゆる「トレードドレス」の特許をサムスン電子が侵害したのは故意とみなせないと、アップル敗訴の判決を出した。

   一方、東京地裁の2月28日の判決では、サムスン電子には特許権の侵害を理由とした損害賠償請求権がないと、アップル勝訴の判決を言い渡した。あわせて、サムスンが求めていたアップル製品の輸入、販売の差し止めの仮処分申請も却下した。

   特許をめぐる両社の裁判は世界10か国で起こされていて、国内の訴訟では12年8月、東京地裁で今回と別の特許でアップルが敗訴し控訴中だ。他に東京地裁に少なくとも4件の訴訟が係属している。両者の争いはまだ続きそうだ。

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