温泉地として全国的に人気の箱根でこの1か月間、やや活発な地震活動が続いている。2013年2月に入ってからは大涌谷の地震計が震度5を観測したという話もあり、ロープウエーが一時運行をストップする騒ぎとなった。
箱根山は3000年前に大噴火を起こし、気象庁が活火山に指定している。だが専門家によると、近々噴火するとは考えにくいという。
大涌谷で震度5? ロープウエーが2時間停止
「震度5の地震を観測したとかでロープウエーが緊急停止した」
「箱根におりますが、地震があった模様でロープウエー止まってる」
ツイッター上にこんなつぶやきがあふれたのは、2013年2月10日の13時過ぎだ。停止したゴンドラの中から撮影したという写真も投稿されている。2月18日放送の「モーニングバード!」(テレビ朝日系)では、ロープウエーの桃源台駅で駅員が乗客に向けて「大涌谷で最大震度5を記録しました。その後も震度2~3クラスの揺れが起きているようです」とアナウンスする映像を流した。
ロープウエーの運行会社「箱根ロープウェイ」に聞くと、実際に地震を観測したため全線にわたって約2時間運行を見合わせ、安全点検を実施したと回答した。今回のような「緊急停止」は2011年3月11日の東日本大震災以来で、「めったにありません」と話す。その後の影響は一切出ていないという。
ところが気象庁の記録には、2月10日に箱根で震度5の地震が発生したとは残っていない。加えて、この地震を大きく取り上げたメディアは見当たらなかった。震度5ともなれば通常は速報で流れるだろう。ツイッターでは「何か重大な情報を隠しているのではないか」と疑う声まで上がった。何があったのか。
事実、箱根の地震活動は活発化している。神奈川県温泉地学研究所によると、2月10日13時15分にマグニチュード2.3、深さ1.5キロの地震を観測。以後も13時20分、22分、27分、34分と続き、マグニチュード1.5~2を記録した。ツイッターにも「下から突き上げるよう」「ドーンと音がしました」と複数書き込まれており、大涌谷に取り付けられた震度計にも記録されたころから、本当に地震だったのは間違いない。
問題はこれが、大涌谷周辺にのみ集中的に起きたとみられる点だ。同じ時間に箱根湯本では、揺れを感じた人はほとんどいなかったという。あまりに局地的だったのが、メディアが報じなかった理由かもしれない。