ここ数年ネット上に次々登場する便利なサービスが、思わぬ形でストーカー悪用される事例が相次いでいる。
ツイッターやフェイスブックなどSNS上でのつきまといから、「つぶやき」からの住所の特定、さらには最新サービス「LINE」を使ったメッセージ連投まで、ネットはストーカーたちの「天国」といってもおかしくない。
ライバル企業の営業部員フェイスブックを「ストーキング」
たとえばツイッターやフェイスブックで、こんな投稿をよく見かける。
「お昼なう。パスタおいしかった!」
その多くは、スマートフォンなどで撮影した写真付きだ。食事に限らず、お店や旅行先で、こうした投稿をしたことがある人は多いだろう。
しかしこうした何気ない投稿も、ネットストーカーにとっては格好の餌食だ。問題は写真についている「ジオタグ」(GPSによる位置情報)。環境や設定によっては、このジオタグで写真を撮影した場所が特定される危険性がある。
もちろん一度行った店の場所が特定されただけでは、それほどの実害はないかも知れない。しかしそれが積み重なっていけば、よく行く店の場所などから、住所や勤務先などがどんどん絞り込まれてしまう。
『フェイスブックが危ない』の著書がある日本IBMシニアセキュリティーアナリスト・守屋英一さんもこう指摘する。
「2012年11月に起きた神奈川県逗子市のストーカー殺人事件では、犯人はQ&Aサイトでこうしたジオタグの確認方法を尋ねていました。こうした危険性が、一般の人にはまだ十分に知られていません」
またいわゆる普通の「ストーカー」だけではなく、ビジネス目的のストーカー、つまり企業スパイといえるようなケースも出ている。 守屋さんによれば企業の中には、ライバル企業の営業部員のフェイスブックなどを「ストーキング」してその動向を探り、商談先などを特定して相手を出し抜こうとするところさえあるという。
「詳しくはいえませんが、私の周りでもつい先日、FBで公開されていた交友関係を元に、偽メールでコンタクトされるというできごとがありました。投稿の公開範囲の限定だけでは対策として不十分になりつつあります」