NHK BSプレミアムで2013年2月11日、「密着!秋元康2160時間~エンターテインメントは眠らない~」というドキュメンタリー番組が放送された。
タイトル通り、AKB48の作詞と総合プロデュースを務める秋元康氏(56)の仕事風景に密着した番組だったのだが、本人のあまりの多忙ぶり、さらに運営の「てんやわんや」の実情が明るみに出てしまい、ネットでも驚きの声が広がった。
「意味がわかんない、お前らの感覚」スタッフに強烈ダメ出し
番組は秋元氏やAKB48運営に密着取材した3か月をまとめており、曲やミュージックビデオ(MV)の製作、メンバーのオーディション現場などに潜入したものだった。
秋元氏はスタッフによく怒っているようだったが、その中でも特に驚きだったのは、13年2月20日に発売される新曲「So long !」に収録される4種類のカップリング曲のMVのミーティング風景だった。
映像監督との打ち合わせで、1人の監督が「曲を今初めて聞いたので、ちょっと予想したのと全然違いましたね。これにはあんまりハマらない企画をしてきたんで…」と告げた。秋元氏が「曲渡してなかったの?」と映像プロデューサーの北川謙二氏に尋ねると、「まだ僕もちょっといただいていないんで…」と答えた。
その場で3人の監督が曲を聞いていなかったことが明らかになり、秋元氏は「何で渡ってないんだ?じゃあここでやる意味がないじゃん」「何が起きているのか俺には理解できない」「意味がわかんないじゃん、お前らの感覚が。曲をまだ聞いていただいてないのに何を打ち合わせするんだよ?」などとたたみかけ、北川氏は「すいません…」と平謝りだった。
過密スケジュールについて「うちの子はどんどん代わるから…」
さらにスケジュールの過密さも異様だった。若手メンバーが集まった「アンダーガールズ」の曲「Waiting room」のMVでは、撮影前日20時、AKB48専用のレコーディングスタジオに秋元氏から歌詞が届き、仮歌を録音する作業が始まった。メンバーが集まってレコーディングする時間がないので、仮歌用にスタンバイしていた歌手がその場で曲と詞を覚えてレコーディングした。
21時30分過ぎ、振付師にこの音源と歌詞が届けられ、そこからMV用の振りを作り、朝6時から撮影現場でメンバーに振りを入れる。これでも振付師の武田舞香さんは、「今回まだ早い方」と言っていた。
チームKのMVでは撮影当日の朝、チームBはそこから数時間後に歌詞が仕上がった。撮影現場では当日になってからのスケジュールの変更など必死で対応し、何とか間に合ったということだ。
ここまでギリギリのスケジュールになってしまうことについて、キングレコードの湯浅順司氏は「うちの子はメンバーがどんどん代わるので、あまりにも前に撮っちゃうと旬がどんどんずれちゃうと思うんですよね」と説明した。
メンバーの舞台裏はこれまでドキュメンタリー映画化されるなど、ファンが目にする機会も多かったが、スタッフの舞台裏がここまで知られることはなく、視聴者の間に衝撃が広がった。
インターネット上では、「akbのシステムって、異常な速さで動いていた。だから凄いんだね。でもこれは持続可能なのか、疑問になった」「やすす(編注:秋元氏のあだ名)がカスだからこんなスケジュールになってるんだろ こんな振り回されてるから曲渡してないなんて凡ミスやらかす」「PVスタッフに曲が行ってなかったのは曲担当の信じがたい失態だと思ったけど、その後の詞の遅れっぷりはそれどころじゃなかったよね」「スタッフ全員いっぱいいっぱいのままで妥協を重ね始めると信じられないような杜撰な管理が罷り通るよね」などの感想が書き込まれている。