女性をナンパするためのノウハウ本(指南書)を書き、勤務する高校の職員室で印刷、1部3万円でネット販売した男性教諭(31)が、2013年2月6日に停職半年の処分を受け、同日、自主退職した。
この教諭は2005年ごろから自らを「ロビン」と名乗り、「モテない男のナンパ日記」「ロビンの恋愛研究日誌」などのブログを運営していて、ナンパに興味がある人にとっても「先生」と呼ばれるちょっとした有名人だったようだ。
「とても恥ずかしくてもう教壇には立てません」
埼玉県教育委員会によればこの元教諭は、越ヶ谷高校の定時制で社会科を担当していた。大学卒業後に1年契約の臨時教員として各学校で教鞭を取り、12年4月から本採用になったばかりだった。
同校の教頭が12年11月30日の午後1時半頃、その教諭が定時制の職員室にいるのをたまたま見つけた。元教諭が何をしているか不審に思い、確認したところ、元教諭が自身で書いたナンパの指南書を印刷しているのを発見した。
この本「ロビンの商材」は自身の研究と実体験を元にして書いたという触れ込みで11年4月からを1部3万円(約150ページ)で販売していて、これまで30冊売れたという。うち5冊は越谷高校に本採用されてから販売したもので、印刷は自宅などで行っていたが、なぜか11月29日と30日は1冊ずつ職員室で印刷したため「事件」が発覚した。
学校から取調べを受けたこの元教諭は、自分が教師としてあるまじき行為をしているという認識は持っていて、埼玉県の教職員の信用を損なう取り返しの付かないことをしたと謝罪、この本の元になったブログ「ロビンの恋愛研究日誌」の全削除と、
「とても恥ずかしくてもう教壇には立てません」
と辞職を申し出た。教育委員会は年末まで残務処理をさせた後に休職扱いに。13年2月6日に半年間の停職処分を下し、元教諭はこの日に辞職した。
実はこの教諭、ネットの一部ではそれなりの有名人だったようだ。3万円で本を買ったという人は、
「ロビンさまは、無料(ブログ)で非常にためになる様々なナンパ情報を、現在も精力的に更新し続け、世の多くのナンパ師たちの勉強の手助けをなさっている方で、ナンパ界ではかなり名の知れた方です」
などと紹介している。本を買った人にはメールで直接質問ができ、アドバイスしてもらえるオプションが付いているのだという。
その本「ロビンの商材」の目次には「ナンパ心得編」「ストリートナンパ編」「合コン編」などの項目があり、
「まったく何もわからない人のために手取り足取り具体的に書きました。僕の数年分のノウハウが詰まっているため一気に成長することができます」
とブログで宣伝している。
ナンパブログがやがて「エロ小説」のようになった
そのノウハウ本は7年も書き続けてきたブログが元になっているが、削除された今でもキャッシュでかなりの記事を読むことができる。05年にブログを始めた頃は、自身がナンパ塾に通ってナンパの修業をしている様子や、お薦めのナンパ塾やノウハウ本の紹介が書かれている。それがやがてナンパの実践編に変わっていって、ナンパのスポットを歩いたり、コンパで試行錯誤しながら女性を口説き落とすレポートが書かれている。
10年ごろからはまるでエロ小説さながらに、ナンパした女性とホテルに行って行為をする、といったものが多くなり、ナンパした女性なのだろう半裸の写真なども掲載されるようになった。ネットでは今回のニュースに、
「オレも読んでいた。たまに参考になることや、名言などもあった」
「先生だったのか!?研究熱心なのはよくわかったが、これを本業に生かすべきだった」
などといった感想が出ている。ただし、ブログに書かれていたナンパのストーリーは自身が実際に経験したものではなく、他人の話を参考にしたフィクションだったと、元教諭は高校の調べに対し話しているという。