歌手の浜崎あゆみさんやレディー・ガガさんなど多数の芸能人を撮影したことなどで知られる写真家のレスリー・キー氏(41)が2013年2月4日、東京・六本木でわいせつな写真を販売したとして、警視庁に逮捕された。ほとんどのページに男性モデルの性器が写った写真集計7冊を2日に販売した疑い。
これを受け、世界的有名デザイナーの丸山敬太さんがツイッターに怒り悲しむメッセージを書き込んだことをはじめ、歌手の浜崎あゆみさんなど、容疑者と親交のある多数の有名人らが擁護するコメントを発している。
「猥褻。。。。。?????怒怒怒怒怒」「誰を不快にしたというのであろうか」
レスリー容疑者は男性ヌード写真以外に、有名人を撮影する写真家としても「売れっ子」だった。被写体となった芸能人は、松任谷由実さん、安室奈美恵さん、宝塚歌劇団メンバーなど非常に多く、交友関係もかなり広かった。
逮捕を受け、浜崎あゆみさんは4日、レスリー容疑者らと映った写真とともに、「何があってもあなたたちは永遠に私のソウルメイト。またすぐに会えるって信じてる」と英語でツイート。坂本龍一氏の娘でミュージシャンの坂本美雨さんもツイッターで「レスリー・キーを逮捕するような暇があるのか、この国。ほんと呆れてしまうよ。。 レスリーは、世界の宝の一人。自由に撮り続けて!we're here, Leslie!」とエールを送った。
丸山敬太さんは、「猥褻。。。。。?????怒怒怒怒怒」「レスリーの逮捕とか会田誠さんの件とか、この国の文化レベルの低さ?につくづく凹む。モヤモヤする。この国を自分が愛しているのかわからなくなりそう。ううーむ」などと、4日から今日まで怒り悲しむ様子を断続的にツイートしている。
ファッション編集者の山室一幸さんは「レスリー・キー逮捕に思う」と題した記事をブログに投稿、逮捕に異を唱えた。
「大人の被写体たる男性のヌードを本人了解のもとに撮影し、それをアート作品として表現する意図において、モザイクがかかっているか否かという二元論は無意味ではないだろうか。レスリーの場合、そうした日本の法律や出版社側の事情を理解したうえで、自らの表現の自由を奪われたくないという理由から、自ら保有する出版社『DANNY & TEDDY PRESS』から自費出版するという姿勢を貫いてきた。今回の一件にしても、公共のメディアで公開した訳でも、一般の人々の目に触れる書店に置いた訳でもなく、あくまでレスリーの作品世界を理解する人々だけに向けて発表した作品が、誰を不快にしたというのであろうか」
「メイプルソープ写真集事件で勝ち取った表現の自由を警察は忘れたのか」
山室さんは続けて、レスリー容疑者の写真がわいせつ物なら、同じく人間の裸体を被写体として扱う米国の写真家テリー・リチャードソンやロバート・メイプルソープの作品も、単なる「猥褻物」として扱われてしまうとし、こうした単純な法解釈が表現者のクリエイションを狭めてしまうことは残念でならないと嘆いた。
憲法21条で定められた「表現の自由」と刑法175条に示される「わいせつ」の線引きについては、以前から議論がある。最近では、ロバート・メイプルソープの写真集を、男性器を写した写真が掲載されていたために、「わいせつ図画」に当たると日本の税関が判断し没収した事件があった。これをめぐる裁判では、写真集の芸術性を理由の一つとして、「わいせつ図画にはあたらない」との判例が出ていた。
この事件で国と争った出版社・アップリンク代表の浅井隆さんは、レスリー容疑者の逮捕について、ツイッターでこう怒りをぶちまけている。
「僕が10年かけてメイプルソープ写真集事件で勝ち取った表現の自由を警察は忘れたのか。ギャラリーなどの限られた空間、コンビニなどで販売していない高価な写真集に男性器が露出していても犯罪ではない」
「2008年2月最高裁はメイプルソープ写真集は猥褻ではないという判決を出した。それから5年。更に状況は変化している。インターネットで誰もが猥褻動画を見る事ができる時代だ。レスリーの写真集は見ていないが断固警察に抗議し、レスリーを支持する」