政権メンバーが不祥事を起こして辞任すると、決まって野党が口にするのが「首相の任命責任」や「説明責任」。だが、自民党の徳田毅国交・復興前政務官(41)については例外のようだ。与党側は政権運営への影響を否定していないが、どういう訳か野党側は「どういう状況か分からない」と、コメントを避けている。
徳田氏が女性問題を理由に辞任の意向を固めたことは、2013年2月3日深夜から4日にかけて相次いで報じられた。2月4日午前には、菅義偉官房長官が定例会見で徳田氏から辞表が提出され、すでに受理したことを発表している。
石破幹事長、政権へのダメージ否定せず
その辞任理由については、菅氏は
「それなりのことは掌握している」
としながらも、具体的な内容については言及を避けた。徳田氏もブログを更新して謝罪コメントを掲載したが、
「問題の内容につきましては、相手の方との関係から私から何も申し上げることができないこととなっており、詳細については控えさせていただきます」
と、やはり口をつぐんでいる。
当然のことながら、与党側は警戒姿勢で、自民党の石破茂幹事長は同日の会見で、
「政権に与える影響が全くないと言えば、それはそうではないと思う」
と政権へのダメージに言及。
「それを最小限にとどめる、ということは必要なこと」
とも述べた。公明党の山口那津男は2月5日の会見で、
「どういう具体的事実関係があるか、我々が承知するところではない。そういった(辞任という)判断を、もうすでにされたとの訳なので、それはそれで尊重したい」
と述べ、言わば「終わった話」だという認識を示した。
発表から5時間経っても「全くどういう状況なのか分からない」?
これに対して、野党側は攻撃姿勢を見せていない。2月4日夕方に行われた民主党の細野豪志幹事長の定例会見では、この辞任劇に関する質問が最初に出たが、細野氏は
「ニュースで流れているのは速報で見たんですけれども、全くどういう状況なのか分からないので、すみません、ちょっと今の段階ではコメントしかねます、はい」
とコメントを避けた。徳田氏の辞任の発表からは5時間程度経過しており、仮に「全くどういう状況なのか分からない」状態だったとすれば危機管理能力が問われかねないし、辞任理由が説明されていないのであれば、野党は通常であれば「説明責任」を理由に政府を批判することが多い。
生活の党の小沢一郎代表も、同様に2月4日夕方に会見したが、
「今、具体的なことを何も私は知りませんし、政治家の出処進退ですから、自分が『その任にあらず』ということでお辞めになるということであれば、それはそれでご本人の意志で、尊重する以外にないのではないかと思う。女性問題なの?ほーぉ」
と、やはり静観する構えだ。
細野氏と小沢氏は、過去にプライベートな問題を週刊誌に指摘されたことがある。このことが影響してコメントが困難だったのか、論評できるだけの情報が実際になかったためにコメントを避けたのかどうかは明らかではない。
共産党は「まだ1度も国会で仕事してないんじゃないですかね?政務官」
なお、共産党の市田忠義書記局長は、
「ちょっと事実関係を掌握していないので分からないが」
と前置きしながらも、
「自ら辞任を申し出てそれを受理したということは、相当、任にふさわしくないという事実を政府としてもつかんだから、それ(辞任)を認めたのだと思う。まぁ、前の政権からもそうですが、まだ1度も国会で仕事してないんじゃないですかね?政務官。その(仕事をする)前に辞めるのが相次いでいるのは、困ったことですね、と思います。まぁ、『早くしっぽを切っとかないと…』という感じじゃないですか?どういう事件かは知らないです。僕は」
と政権批判を展開していた。
新刊新潮に「『徳田毅代議士』が慰謝料1000万円の『未成年女性』泥酔姦淫」の見出し
なお、2月5日午後に首都圏の鉄道で確認された週刊新潮2月14日号(2月6日発売)の中吊り広告では、
「順風『安倍内閣』最初の一大スキャンダル!懲役5年の『内柴被告』と同じ穴の『国土交通政務官』 『徳田毅代議士』が慰謝料1000万円の『未成年女性』泥酔姦淫」
という見出しが踊っており、その横には、
「日本最大の民間医療組織『徳洲会』の御曹司、徳田毅代議士は41歳の若さで国交大臣政務官に抜擢された。だが、前途洋々の彼には政治家の資質を問われる脛の傷があった。新婚早々、知人の若い女性を酔わせ、強引に関係を持ち、裁判を起こされたのだ。その訴状には破廉恥な一夜の顛末が…」
という解説文が載っている。