2012年夏には大幅な伸び率を見せていたフェイスブックの会員数の伸びに、すでに「一服感」が出てきた。ブルネイやシンガポールといった人口に占める利用者率が高い国では、すでに利用者数が減少に転じるケースも出ており、市場の飽和ぶりが浮き彫りになってきた。
ウェブサイトの運営支援などを行っているセレージャテクノロジー(東京都文京区)では、アジア24か国・地域のフェイスブック利用者を、広告ツールを使って推計している。これによると、12年12月時点での日本国内の利用者は前月比2.0%増の1712万600人。インド、インドネシア、フィリピン、タイに次いでアジアでは5番目に多い数だ。だが、その推移を見ると、すでに「頭打ち」になっているようだ。
伸び率は12年8月が前月比26.2%でピークだった
推計は11年1月から毎月発表されているが、日本の利用者の伸び率を見ると、12年8月が前月比26.2%でピーク。翌9月には13.7%とほぼ半減している。それ以降も、10月が0.9%、11月が2.5%、12月が2.0%と、秋以降大きく局面が変わっていることが分かる。
一方、電通PRが12年11月下旬に全国の男女1339人を対象にネット上で行ったSNSに関する調査でSNSごとに利用経験や意向を聞いたところ、フェイスブックを「利用していないが、今後利用してみたい」と答えた人は14.1%。いわば、この数字が「伸びしろ」にあたると言えそうだ。グリー(9.8%)、モバゲー(9.4%)、ミクシィ(9.2%)といった比較的「古参」のSNSを大きく上回ってはいるものの、Google+(19.0%)やLINE(18.7%)、Comm(16.3%)といったメッセンジャーアプリが柱のSNSに比べると、やや下回っている。多数あるSNSの中で、フェイスブックが埋没する可能性もある。
12年12月にはアジア6か国・地域で利用者が減少
日本の人口に占めるフェイスブック利用者数の割合は13.5%で、地域内では13位。日本よりも利用者率が高い国や地域では、すでに飽和、または減少局面に入っているようだ。前出のセレージャテクノロジーの推計によると、12年12月時点のブルネイの利用者は25万5680人。人口比率では63.9%で、アジアでは最も高い。だが、ここ3か月の伸び率の推移を見ると、0.9%、-1.6%、-1.4%といった具合で、減少気味だ。1329万8300万人(人口比57.3%)の利用者を抱える台湾も状況は同様で、伸び率は0.4%、0.7%、1.1%。「微増」のレベルにとどまっている。
12年12月の推計では、ブルネイ以外にも香港、シンガポール、ラオス、マカオ、モルディブで利用者が減少している。逆に利用者の伸び率が高かったのは、国内からはフェイスブックにアクセスができないはずの中国(9.1%)、ベトナム(7.0%)、アフガニスタン(5.4%)、韓国(4.4%)だった。