ソニー、NY本社ビルを売却 はたして「吉」と出るか

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本業の収益力回復は待ったなし

   市場の反応は好意的だ。格付け会社のムーディーズ・ジャパンは1月21日、「ソニーの信用力上、ポジティブ」とのコメントを発表した。ムーディーズは理由として「この売却がソニーの流動性(手元資金)の改善につながる」と指摘。関連費用控除後の売却収入が7.7億ドルに達し、これは昨年9月末時点のソニーの金融を除く事業の現預金(4225億円)の15%超に相当する規模であるため、財務体質が改善すると判断したというものだ。

   ただ、ムーディーズが指摘するまでもなく、米本社ビルの売却益は「非経常的(一時的)なものである」。従って、「中核事業からの収益の改善が不可欠」なのは言うまでもなく、2013年3月期も赤字を垂れ流し続ける見込みのテレビ事業の立て直しなど、本業の収益力回復が待ったなしという状況に変化はない。

   今年初めに米ラスベガスで開かれた家電見本市「CES(セス)」で、パナソニックが「脱テレビ」を掲げ、白物家電を初めて本格展示したほか、企業向け事業の拡大などを打ち出したのに対し、白物家電を持たないソニーはあくまでもテレビやスマートフォンといったAV・情報家電の主戦場で攻勢をかける意思を表明した。ソニーとして反転攻勢をかけるため必要なカネをかき集める手段でもある米本社売却。はたして「吉」と出るか。

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