発電会社「日本原子力発電」が保有する原発3機とも運転が停止されているにも関わらず、東京電力などから年間1000億円を超える電力料が原電側に支払われる異常事態になっている。
日本原電は、東電など電力会社が出資して設立され、東海第2原発、敦賀原発1、2号機からの電力を各社に供給していた。それが、震災の影響で3機とも発電がストップしており、売る電力がゼロの状態が続いている。
2012年度上半期の利益は増えていた
各社との契約では、原電側には、燃料などの従量料金は支払われていないが、供給電力ゼロでも、維持管理費などの基本料金は支払われている。その額は、2011年度だけで1443億円にも上る。
12年度の上半期も、762億3500万円に達した。年度全体では1000億円を超えるのは確実だ。
そして、自民党の河野太郎衆院議員は、13年1月8日のブログで、電力を供給していた時代よりもなぜか原電側の利益が増えていると指摘した。
10年度の1年は、純利益が8億1200万円だったのに、12年度上半期の半年だけで、なんと209億7300万円にも激増しているのだ。営業・経常利益も、100億円余だったのが、300億円ほどと3倍近くに膨れあがっている。この状況について、河野氏は、ブログの中で「原発が停止し、販売すべき電力が無いほうが圧倒的に利益が多い!」と皮肉っている。
有価証券報告書を見ると、震災後となる11年度は、従業員1376人の平均給与額が638万円に達していた。20人いる取締役は、計4億7900万円の報酬を受け取っており、常勤14人で見ると、平均3000万円超という高給だ。こうした待遇は、われわれの電気代から賄われているわけだ。
発電ゼロでも利益が増えているということは、コストがかからなくなっているからではないのか。
仕事が減ったことについては否定
こうした疑問について、日本原電の広報室では、次のように説明する。
「電力料の収益は、電力会社から月割りで入ってきますが、支出は、年度末に出るケースが多々あるんですよ。それで、上半期は、支出が少ないと、収益が大きく見えることになります。上半期で大きな収益だからと言って、年間でそうなることにはなりません。新しく安全対策をする工事などもあり、年度で比較しないと分からないということです」
確かに、11年度は、純利益が128億円の最終赤字になっている。赤字になったのは、12年ぶりだ。これは、被災した東海第2原発の復旧費用を特別損失で計上したことが大きいという。ただ、12年度がどうなるかについては、何とも言えないとしている。
従業員の給与や取締役の報酬については、電力各社と同レベルのカットをしていると説明した。
発電ゼロで仕事が減ったことについては、日本原電の広報室は否定した。
「発電所の機器を点検したり、新しい安全対策に携わったりと、仕事に余裕があるわけではありません。それに、3機を再稼働させることに備える必要もあります」
とはいえ、発電ゼロでも電気代から高額な料金が支払われていることに変わりはなく、ネット上では、「確かにこりゃ変だ」「もう電気代払いたくない」といった声も漏れている。