2012年12月25日、民主党代表選が都内ホテルで行われ、海江田万里元経産相(63)が馬淵澄夫元国交相(52)を破り、新代表に選出された。党所属国会議員145人のみの投票で、海江田氏90票、馬淵氏54票、無効1票だった。
党員・サポーターによる投票は行われず、海江田氏優勢が選挙前から伝えられており、盛り上がりにかける代表選となった。海江田氏は当選後、「粉骨砕身全此生」と書かれた自作の漢詩を披露した。
会場内では失笑、居眠り…
「ただ今より…」と開会のあいさつを直嶋正行両院議員総会長がタイミングを間違って話し始めた時、会場には失笑がもれた。今回の代表選は開会段階から緊張感のないものだった。
衆院選敗戦の責任を受けて、野田佳彦首相が党代表を辞任したことにともなう今回の代表選は、12月26日に召集される特別国会まで時間がないことから、当初予定されていた22日の代表選が延期されるなどドタバタぶりが目立った。
前原誠司氏や岡田克也氏ら代表経験のある大物議員らが出馬せず、本命視された細野豪志氏は温存という形で出馬が見送られた。結局、22日に出馬表明した海江田氏が党内の反主流派の支持をまとめて勝利したが、馬淵氏との政策論争もまったく深まらないままに代表選は終了した。
海江田氏は代表選出後のあいさつで自作の漢詩を披露、記者団に対してにこやかに漢詩について解説した。漢詩は前もって準備していたという海江田氏にとって、代表選勝利は当然だったようだ。
「臘月扶桑戦鼓鳴 寒天寡助計無成 将軍功盡萬兵斃 粉骨砕身全此生」
という短い漢詩だった。
海江田氏は、タレント政治家として知られた野末陳平氏の秘書を経て経済評論家になり、やがて政治家の道に進んだ。野末氏は、中国文学の研究家でもあり、そこで漢詩の勉強もしたのだろうか。06年には「海江田万里の音読したい漢詩・漢文傑作選 」(小学館)という著書も出しており、11年にも両氏は大正大学で「漢詩を読んで楽しむ集い」と題したセミナーを行った。
海江田氏としては渾身の思いを吐露した漢詩だが、取材に来た約200人のマスコミ関係者の中でそのコピーを持ち帰る人は少なかった。
また代表選の最中、会場でいすに座り、堂々と居眠りする民主党のスタッフの姿も見られた。
海江田氏が繰り返し語った「粉骨砕身、努力したい」という言葉は党内にどれだけ浸透するだろうか。