第265代ローマ法王・ベネディクト16世(85)のツイッターアカウントが、またまた災難に見舞われている。
日本人アカウントが法王の「殺害予告」をしたのだ。
騒ぎになってユーザーはアカウントを削除したが、失礼なリプライを送り続ける人もいる。
一部では、何者かが日本を貶めるため、日本人になりすまして侮辱的なツイートをしている、というトンデモ説まで唱えられる事態となった。
「国際的な刑事事件に発展する可能性もある」
ことの発端は、2012年12月15日に、あるツイッターユーザーが投稿したツイートだ。
「ローマ法王を12月24日に殺します 手段は教えられません」
「ローマ法王に殺害予告します。明日殺す。 はいwww俺空気だからRTされなくて炎上しないwwwwwww」
法王のアカウントは12日にはじめてツイート。フォロワー数が100万人突破し、注目を集めた。ところが、悪戯リプライも大量に送りつけられるようになった。14日には英語で侮辱的なリプライをした日本のアカウントをブロックしたばかり。今回の殺害予告はそういった流れの中で飛び出したもののようだが、悪ふざけにしても度が過ぎる、「国際的な刑事事件に発展する可能性もある」などと問題視された。ネットからは非難が相次ぎ、問題のユーザーはアカウントを削除した。
ところが、いまだに一部のツイッターユーザーのローマ法王への「無礼」は止まない。
「前貸した500円返せよ」
「よぅ法王。お前年収なんぼやねん」
「お前フォロー返しもしらねぇのか垢(編注:アカウント)消せハゲ」
など、失礼極まりないツイートがローマ法王のアカウント宛に送られ続けている。
「日本語のツイートは全て工作なので無視して頂きたい」
これまでも、有名人が表立って反撃できないことをいいことに、低俗な言葉を送りつけまくるという悪戯はあった。この子どもじみた所業は、「突撃」と俗に呼ばれる。
ツイッターで相次ぐ日本人の目に余る行動に、ネットの一部では「日本人の仕業ではない」とする「トンデモ説」まで浮上した。
インターネットのQ&Aサイト、教えて!gooでは、今回の件について「本当に日本人の仕業なんですか?」とする質問が投稿され、
「ローマと日本の関係を考えてもさほど悪くはないですし日本人の仕業とは考えにくいですし考えたくありませんね」
「日本人は無いですね なりすましです」
などと回答が寄せられた。
なかには、ローマ法王のアカウントに宛ててこうした「トンデモ説」を大真面目に日本語で説明し、謝罪する人までいる。
「日本人ではない日本人を装った連中が、日本をおとしめる目的で、組織的に教皇を侮辱したり脅迫するツイートをしているので、今警察に捜査を頼んでいます。ご迷惑をお掛けして申し訳ない。ふざけた日本語のツイートは全て工作なので、無視して頂きたい。よろしく願います」
問題ユーザーは「前田敦子殺す」ともツイート
ただ、今回の殺害予告や一連の「突撃」が外国人の所業なのかというと疑問が多い。
常軌を逸した発言や「突撃」を好むアカウントは、多くがアニメ調のイラストのアイコンを使っていて、ツイッター界隈では「アニメアイコンクラスタ」とも呼ばれるほどの一大勢力となっている。そのほとんどが、1時間に1回以上のペースでツイッターに日本語でくだらない書き込みをしている。
彼らは注目を集めること自体が目的で、過激な発言をする。仲間内でふぁぼ(お気に入り登録の数)やRT数、フォロワー数を競い、時には「炎上」を自ら引きおこして満足を得るらしい。「突撃」や殺害予告もそれがエスカレートしてしまったものなのだろう。
オバマ大統領のアカウントに対し、「フォローかえしてよ!」「イタ電するぞぉぉぉw」といった悪質な投稿が、「アニメアイコンクラスタ」を中心として1日1000件以上もされたこともある。問題となったユーザーも、以前にはアニメキャラクターのアイコンを使い、オバマ大統領や乙武洋匡さんなどに下品な言葉を投げつけ、また、「前田敦子殺す(震え声)」ともツイートしていた。