沖縄・普天間基地問題や消費税増税…。民主党政権によるマニフェスト違反などへの有権者の厳しい審判は、前首相や現職閣僚、閣僚経験者ら「大物」をものみ込んだ。2012年12月16日投開票された第46回衆院選では、民主前職の菅直人前首相や藤村修官房長官らが反民主の逆風にさらされ小選挙区で敗れた。
文部科学相の田中真紀子氏(新潟5区)、元官房長官の仙谷由人氏(徳島1区)らも自民候補に及ばなかった。ただ、惜敗率が低い田中氏や仙谷氏を除いて、他の候補は比例復活当選の可能性を残してはいる。
「田中王国」崩壊
「原発ゼロを目指す」――。菅前首相は選挙期間中、1日30か所以上で街頭演説を繰り広げ、原発問題に絞って有権者に訴えた。しかし、支持者がビラを配っても受け取りを拒否する有権者も目立つなど、終始苦戦が伝えられていた。
藤村官房長官は公務で地元回りができず、北朝鮮のミサイル発射を巡る失言などが響いた。現職の官房長官の落選は初めて。
田中真紀子氏は危機感あふれる選挙戦を展開したが、後援会組織が高齢化したせいもあり、父親の角栄氏が築いた「田中王国」を守れなかった。夫の田中直樹氏の防衛相辞職や自らの大学不認可騒動などもマイナスに働いた。
内閣の中枢で存在感を発揮し、一時は「影の総理」といわれた元官房長官の仙谷氏も反民主の風をもろに浴びて、自民党候補に敗れた。今回は選挙区に張り付き「どぶ板」で支援を呼びかけたが、自民の新人福山守氏に及ばなかった。
このほか、現職閣僚では5期目を目指した城島光力財務相(神奈川10区)、樽床伸二総務相(大阪12区)らが落選し、小宮山洋子元厚労相(東京6区)、原口一博元総務相(佐賀1区)、鹿野道彦元農水相(山形1区)、松本龍元復興相(福岡1区)らも苦杯を喫した。