「風俗営業適正化法」(風営法)の規制対象からダンスを外すことを求める声が高まるなか、「社交ダンス」がヤリ玉にあがっている。
2012年11月21日に警察庁が新たに示した見解によれば、ダンスとは「あくまで男女がペアになって踊ること」(ペアダンス)。それが規制対象の前提となっている、としたからだ。
「男女ペア」のダンスはダメ!?
1996年の映画「shall we dance?」をきっかけに幅広い人気を得た社交ダンスは、いまでは高齢者らが、町の公民館などの公共施設を使った、ダンスサークルなどが主催する安い会費のレッスンやダンスパーティーに参加して楽しんでいる。
ところが現行の風営法では、資格のある指導者をおかずに会費を集めて社交ダンスパーティーを開くと規制対象になる。
社交ダンスは、全日本ダンス協会連合会や日本ボールルームダンス連盟による指導者資格を有する人がいるダンススクールでの営業は認められている。しかし、指導者がいない場合や、ダンススクール以外の場所(ダンスホールやクラブ、公民館など)でのダンスレッスンやパーティーは、いまだに風営法の対象のままだ。
さらに、警察庁が11月21日に発表した風営法の一部改正に伴うパブリックコメントの回答によれば、「男女がペアになって踊る」、いわゆるペアダンスは改正後も規制対象の前提となる、とされた。
つまり、ヒップホップやベリーダンスのダンススクールや盆踊りなどは「ペアダンス」ではないので改正風営法の対象外だが、社交ダンスは対象のままであることが明確になったわけだ。
ただし、警察庁はペアダンスでなくても、ダンスフロアが参加する人数に比べて著しく狭く、密集してダンスをするなど、「男女間の享楽的雰囲気が過度にわたる可能性があるもの」として規制の対象となり得る、としている。
風営法の規制から「ダンス」を外して!
これまで、風営法上の「ダンス」の定義はなかった。「肩が揺れたら」「踵が浮いたら」ダンスであるというような解釈もあって、警察はヒップホップダンスから社交ダンスまで、すべてのダンスを「規制対象となる可能性がある」と説明してきた。
それが今回の警察見解で、「ペアダンス」が規制対象であるとわかったことで、社交ダンスの愛好家らは困惑ぎみだ。
そもそも、社交ダンスをはじめダンスへの締めつけが厳しくなったきっかけは、クラブの取り締まりが激しくなったことにある。風営法では、営業目的で客にダンスをさせるクラブなどの営業は許可が必要で、営業時間も深夜0時~1時までに制限される。早朝まで営業するクラブは摘発の対象だ。
そういったことから、風営法の規制対象から「ダンス」を外すことを求めている「Let's dance署名推進委員会」は2012年12月6日夜、東京・渋谷で署名活動を行った。同日夜までに寄せられた自筆署名は8万8963筆、WEB署名は1万4393筆にのぼっている。
Let's dance委員会は「風営法のダンス規制は、表現の自由を奪っている」と訴えている。