「ソニーはもちろん復活できる。古い産業はどんどん変わらなければならない」
元ソニー社長でベンチャーコンサルタント会社のクオンタムリープの出井伸之社長は2012年11月22日、東京都内で開いた「出井さんの75歳を祝う会」でソニーの将来を尋ねた私にこう強調した。
クオンタムリープはベンチャー支援のコンサルタント会社としてベンチャーキヤピタルなどと協力して米国やアジアなどで第二、第三のソニーを作ろうと企業興しに力を入れているが、古巣のソニーは株価も低迷して苦しい状態が続いている。ソニーを変えるには旧体質の改革こそ急務というわけだ。
75歳を迎えた出井さんは「第四の人生の始まり。これまでと変わらずがんばっていこうと思います」とあいさつ、若手育成に残り人生を捧げる決意を示した。サポーター代表のマネックスグループの松本大社長も「出井さんはインターネット経済の守護神」ともちあげた。もっとも出井社長の時代、ソニーは映像や金融など多角化戦略を展開したが本業のエレクトロニクス部門で競争力体質を築くことができずその後の赤字体質を生み出すことになった。それだけに「第四の人生」の門出を祝う声のなかでも複雑な思いをかたる産業人も少なくなかった。