ネットの「わいせつ図画」どうする? 警察の週刊誌「女性器アート」警告に素朴な疑問

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   「女性器アート」の写真を載せた週刊誌2誌に警視庁が警告したことに、ネット上で「今さらなぜ」と疑問が噴出している。ネット上のニュースサイトやブログにもこうした写真はいくつも載っており、一体どうするつもりなのか。

   芸術か 猥褻か――。週刊ポスト2012年8月17・24日合併号には、こんな挑発的なタイトルとともに、「女性器アート」のグラビア写真が出てくる。

裸の下半身から形取った「女性器アート」

弁護士も苦言
弁護士も苦言

   その写真を見ると、石こうでかたどられているとはいえ、確かに様々な女性器のリアルな様子が表されている。それもそのはず、制作したイギリス人アーティストのジェイミー・マッカートニーさんは、女性たちに下半身裸になってもらい、実際に型取りしたという。

   お願いした女性は、日本人も含め世界各国の18~76歳までの571人。マッカートニーさんは、女性たちが性器コンプレックスに悩んでいるのを知り、こんなにも十人十色であり整形を考える必要もないことを訴えるために、5年がかりで集めたそうだ。ロンドンで展示会をしたところ、初日から800人が集まり、1週間延長するほどの人気だったという。

   ポスト誌のグラビア掲載も人気だったためか、週刊現代も9月15日号と22・29日合併号の女性器研究特集の中で、マッカートニーさんのアート写真を紹介した。そこでは、日本人の女性漫画家による女性器アートの写真も載せている。

   しかし、新聞各紙が11月21日から報じたところによると、警視庁の保安課は、アートの見た目は女性器そのものだとし、わいせつ図画陳列罪の可能性があるとして、9月に両誌編集部の担当者に口頭で警告した。子どもがコンビニなどで目にする恐れがあり、ふさわしくないというのだ。これに対し、週刊現代編集部では、マスコミ取材に対し、コメントすることはないとし、ポスト編集部では、女性にコンプレックスを抱かせないためのアート表現を伝えるため掲載したなどと説明した。

   一方、ネット上では、ニュースサイトやブログなどで、すでにマッカートニーさんのアート写真などはいくつも載せられている。

「警告は時代錯誤」の声多く、弁護士も苦言

   例えば、ニュースサイト「GIGAZINE」では、2011年3月26日配信の記事「18歳以上400人の女性器を型取りして並べたアート『The Great Wall of Vagina』」で、展示会場の写真を載せた。これは遠目ではあるものの、女性器の様子がある程度分かるようになっている。また、アートを並べた写真は、ぼやけているものの、写真などからリンクすれば、鮮明なアートの写真が見えるようになっている。

   さらに、ブログなどに至っては、鮮明な写真や動画が見られるものがいくつもある。週刊誌が載せる前から、ネット上では、これらの写真などがはんらんしているのだ。とすると、たとえフィルタリングがかけられているとしても、子どもたちが目にすることはありそうだ。

   一方で、鮮明な写真などが紹介されていたNAVERまとめ「【写真あり】話題の展覧会『The Great Wall of Vagina』女性器の偉大なる壁」は、8月11日にアップされたものの、現在は「このまとめにはアクセスできません」との表示が出るようになっている。

   これは警告の報道が出てから削除されたものなのか。運営会社のNHN Japanに取材したところ、調査するとしてすぐに回答は得られなかった。

   ネット上は混乱している様子だが、警視庁は、どのように対応しているのか。広報課に取材すると、「警告したとは発表していませんので、お答えすることはできません」とのことだった。ただ、「お寄せ下さった情報については、保安課にお伝えします」としている。

   警視庁の警告については、ネット上では、そもそも「時代錯誤」だといった声が多い。メディアへのコメントが多い紀藤正樹弁護士は、ツイッターで「もう今の時代はセーフにしていいと思う。インターネットで何でも見れる時代なんだから雑誌だけを警告しても意味はない!」と指摘していた。

姉妹サイト