コンビニエンスストアの雑誌・書籍コーナーの隅に置かれているアダルト系の成人向け雑誌、いわゆる「18禁」雑誌のブースが消えるかもしれない、とツイッターで話題だ。
警察当局の指導もあって、多くのコンビニが他の週刊誌やマンガ雑誌などと明確に区別できるよう、間仕切りでブースを設けている。ただ、割かれているスペースはわずかしかないものの、DVDやビデオ店のように子どもなどの目に絶対にふれないとは言いがたい。
「今のところ、なくすことは考えていません」
写真や絵などによる性描写や暴力的な表現が過激なアダルト系の成人向け雑誌は、他の書籍や雑誌と明確に区分することや、綴じ込みにしたり、ビニール袋に入れたりすることで、コンビニ内で立ち読みできないようになっている。もちろん、販売時には年齢確認が必要になる。
警察当局の指導や、日本フランチャイズチェーン協会の自主規制である「成人誌取扱いガイドライン」によるもので、コンビニ業界はこれらに則って成人向け雑誌を置いている。
とはいえ、成人向け雑誌に並んで一般の週刊誌やマンガ雑誌、女性誌などが置いてあることはめずらしくない。
DVDショップなどが18歳未満の視聴を制限した成人向けビデオの陳列スペースを明確に分けていることと比べれば、コンビニの規制は緩いと感じている人は少なからずいる。まして最近の性犯罪の増加や低年齢化などに、警察当局や自治体、教育機関などが警鐘を鳴らしていることを考えれば、なおさら。コンビニ側が雑誌の品揃えに敏感になっていることは考えられる。
コンビニから成人向け雑誌のブースはなくなるのだろうか――。セブン‐イレブンやローソン、ファミリーマートは「今のところ、(ブースを)なくすことは考えていません」と、口を揃える。
あるコンビニ大手は、「雑誌はあいだに『取り次ぎ』が入りますから返品でき、加盟店のリスクはありません。他の売れる商品を置くために雑誌のスペースを割くことはあります。また最近はインターネットで買えるものですし、買うところを見られたくない人もいるモノですから、徐々にスペースが狭くなっていることはあると思います」と説明する。
消費者ニーズ「ゼロではない」
成人向け雑誌について、あるコンビニ大手は「消費者ニーズがゼロではないので、本部として今すぐなくすことは考えていません。ただ、加盟店によって陳列を調整していることはあります」と話す。
周囲に学校があるなど、加盟店の立地条件や店舗スペースによって、雑誌を「置く、置かない」をオーナーの判断に委ねていて、たとえば雑誌が入荷しても陳列しなかったり、表紙が見えないように足下のほうに平積み置いたりしている。
セブン‐イレブンも加盟店の判断に任せていて、「現在すべての店舗に成人向け雑誌のコーナーがあるわけではありません」という。実際のところ、コンビニ販売の中でこうした雑誌の売上げは、スペースの割にはあまり多くないということもあるようだ。
一方、ツイッターのつぶやきの中には、「コンビニから18禁コーナーが消えることが、表現規制につながる」と考える向きがある。
いまやコンビニは雑誌流通の40%を占めるとされる。そのコンビニが雑誌を置くことの「条件」に、アダルトな表現の抑制あるいは禁止を要請したら、その条件を飲まざるを得ない出版社が出てくる可能性がないとはいえない。
セブン‐イレブンなどは「(出版社との)交渉していることはありません」と話す。