朝日新聞の中国語版ツイッター(微博)が、他の利用者の書き込みに対して書き込んだコメントが「炎上」し、謝罪コメントを発表した。コメントを付けた書き込みが、石原慎太郎前東京都知事に関するもので、コメントには「小鬼子」という言葉が含まれていたため、一部のツイッター利用者が
「朝日新聞が石原慎太郎さんや日本人を、超侮辱した言葉"小鬼子"と呼んでくださいと中国人に呼びかけています。どこまで反日新聞ですか?」
などと猛反発していた。
朝日新聞の微博には18万人以上フォロワーがいる
朝日新聞の微博は、すでに18万人以上のフォロワーがおり、なりすましでないことを示す認証マーク「Vマーク」もついている。プロフィール欄によると、朝日新聞の中国語ウェブサイトの運用チームが微博も運用しているようだ。中国語版ウェブサイトは、英字新聞の「ヘラルド朝日」を発行していた「国際編集部」が運用している。
微博では、中国語で配信された日本関連のニュースを中心に紹介しているが、他の書き込みにコメントをつけることもあった。
実は、今回の騒動の発端は、民主党の細野豪志政調会長が2012年11月3日に読売テレビ系で放送された「ウェークアップ!ぷらす」の中でした発言にある。番組のテーマは、いわゆる石原新党に関するもので、細野氏は石原氏の都知事としての業績を評価する一方、
「ただ一方で、例えば『シナ』という言葉を使われる。私は、あの言葉というのは、やはり慎むべきだと政治家は思う。中国を見ていて、よく『小日本』って使いますよね?あれは日本を蔑視する言葉として使っている。お互いに、ああいう言説は謹んで、もちろんしっかりと国益は主張するけれども、ナショナリズムを煽るというのはやらない、というのが政治家の役割だと思う」
と、石原氏の言動を批判した。この発言を人民日報の電子版が、
「日本の高官、中国人に日本に対して『小日本』と罵らないように求める」
といった見出しで報じ、微博でも拡散した。
「小鬼子」は、右派政治家に対する蔑称として使われる
この記事を転載した微博の書き込みに対して、朝日新聞のアカウントが11月4日夜、
「『小鬼子』を叱らなきゃ」
とコメントを付けたのだ。「小鬼子」という言葉は、石原氏をはじめとする、中国では右派だとみなされている政治家に対する蔑称として使われることがある。第二次対戦中に、日本人が連合国を「鬼畜米英」などと呼んでいたのと近いニュアンスがあるとされる。
コメントを付けた書き込みは石原氏の写真付きだったため、石原氏に対して朝日新聞が「小鬼子」と言う言葉をぶつけた、と受け取った人もいたようだ。このことから、一部のツイッター利用者が
「微博で朝日新聞が石原慎太郎さんや日本人を、超侮辱した言葉"小鬼子"と呼んでくださいと中国人に呼びかけています。どこまで反日新聞ですか?狂っています!!」
「中国人は喜んでコメントで日本を馬鹿にします。朝日は中共の新聞ですか?なぜ日本人は朝日新聞を読みますか?日本が大好きな台湾人のわたしはとても悲しいです」
などと猛反発。この書き込みが拡散し、日本のネット上でも騒ぎが広がっていた。
「我々のコメントは石原慎太郎氏とは何の関係もありませんし、悪意もありません」
これを受け、11月5日には、朝日新聞の微博のアカウントが以下のコメントを発表して謝罪。問題とされた書き込みは削除された。
【お知らせ】昨日、朝日新聞中国語版ウェブサイトの微博は、別の微博の書き込みを転載し、「『小鬼子』を叱らなきゃ」とコメントをつけました。転載した微博の書き込みには、石原慎太郎前東京都知事の写真がついていました。我々のコメントは石原慎太郎氏とは何の関係もありませんし、悪意もありません。もし、石原氏本人、および日本人の中に不快感をいだく方がおられるのであればお詫びいたします。すぐに転載した微博の書き込みを削除します。